咳ハラ・逆咳ハラ (4コマあり)
咳ハラスメント(咳ハラ)とは
ハラスメント(Harassment)とは色々な場面での「嫌がらせ、いじめ」のことをいいます。
その種類は様々ですが、他者に対する発言・行動などが本人の意図には関係なく、相手を不快にさせたり、尊厳を傷つけたり、不利益を与えたり、脅威を与えることを指します。
「咳ハラスメント(咳ハラ)」とは、咳や咳ばらいによるハラスメントのことをいい、風邪や病気によって本人の意思では止められない咳は除くとされています。
しかし、感染症が疑われる状況でもマスク着用しないような咳は咳ハラスメントです。
咳ハラの典型的なエピソードなど
・体調が悪そうで咳をしているのにマスクをしてくれない
・電車など人が多いところでも平気で咳をする
・咳をする時に手でおさえない
・咳をすることが迷惑だと思っていない
・風邪をひいていることを認めない
・相手を威嚇するように咳ばらいをする
咳ハラの対策
・厚生労働省が情報発信している「咳エチケット」啓発のためのポスターをさりげなく目につくところに掲示する
・迷惑であることを意思表示する
・身近で信頼できる人に相談する
・ハラスメントを受けた日時や内容をできるだけ詳しく記録しておく
・自分自身がしっかりとマスク、うがい、手洗いを行う
※このマンガの女性は鼻を出してマスクをかけていますが、これではちゃんと防御したことにはなりません。マスクをする時は鼻も覆うようにつけましょう。
逆咳ハラとは
「逆咳ハラスメント(逆咳ハラ)」という言葉は存在せず、私が作った造語です。
ハラスメントは強い立場や地位の人から、弱い立場や地位の人に対して行われる発言や行動です。
それが逆に弱い立場や地位の人から、強い立場や地位の人に行われることを逆ハラスメントと言われています。このため厳密な意味では今回取り上げたような逆咳ハラは逆ハラスメントの定義には合わないかもしれません。
しかし、下に掲載したマンガに描かれた状況は実際に存在します。
咳を不快に思う人が、過剰に「咳ハラ」をアピールすることで長引く咳に困っている人を不快にさせたり、尊厳を傷つけたり、不利益を与えたり、脅威を与えることを「逆咳ハラ」と考えました。
8週間以上咳がつづく慢性咳嗽では感染性の以外の咳の方がずっと多いのですが、「結核じゃないの?コロナウイルスに感染しているんじゃないの?」などと変な噂を流したりする人が少なからず居るようです。
私の外来にはこのマンガで描いたような「逆咳ハラ」に悩んでいる患者さんが沢山いたため、こういった職場環境に対する問題提起として「逆咳ハラ」のマンガを追加しました。
逆咳ハラの典型的なエピソード
・咳に対して過剰に反応する
・咳をしている人に聞こえるように咳に対する嫌味をいう
・感染症だけが咳の原因でない事を知らない
逆咳ハラの対策
・この本を「逆咳ハラ」をしてくる人に見せて、長期間続く咳では感染症の割合が減ることを知ってもらう
・迷惑であることを意思表示する
・身近で信頼できる人に相談する
・ハラスメントを受けた日時や内容をできるだけ詳しく記録しておく
・あれこれ言われないようにマスクをしておく
・あれこれ言われないように咳エチケットを徹底しておく
・花粉症マークや喘息マークの入ったバッチやキーホルダーをつけておく
稀に咳や発熱が主訴にもかかわらず、マスクを着用しないで院内に入ってくる患者さんがいて唖然とします。
当院では感染症状がある人だけでなく、院内に入ってくる方に例外なくマスクの着用をお願いしております。
これは過剰に「咳ハラ」をアピールしている「逆咳ハラ」ではありません。
感染症の患者さんを多く診療する医療機関であるため、当院を利用する患者さん同士が感染してしまわないように、当院のスタッフが感染してしまわないようにという配慮から行っている感染対策です。
ご理解・ご協力の程宜しくお願い致します。