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つらい片頭痛、我慢していませんか?

[2026.08.23]

つらい片頭痛、我慢していませんか?~「頭痛は体質だから」と諦めないために~

近年ゲリラ豪雨などが頻発するようになってきました。こういった天候が不安定な時に「頭がズキズキする」「動くと痛みがひどくなる」「吐き気がして仕事や家事ができない」このような頭痛を繰り返していませんか?

片頭痛は決して「単なる頭痛」ではありません。痛みのために仕事や学校を休んだり、家事ができなくなったりするなど、日常生活に大きな影響を及ぼす病気です。近年は片頭痛の治療薬が大きく進歩し、以前よりも「頭痛のない日」を増やすことが期待できるようになってきたため、今回の院長ブログは片頭痛の治療について書いてみました。

片頭痛にはどんな特徴がある?

片頭痛は、頭の片側または両側に、脈を打つような「ズキンズキン」とした痛みが起こることが特徴です。4~72時間程度続くことがあり、歩いたり階段を上ったりすると痛みが強くなることがあります。

また、吐き気や嘔吐、光がまぶしく感じる「光過敏」、音がうるさく感じる「音過敏」を伴うこともあります。

「目の前がチカチカする」「ギザギザした光が見える」「視野の一部が見えにくくなる」といった症状が頭痛の前に現れることもあります。これは「前兆」と呼ばれます。

片頭痛には、睡眠不足・寝すぎ、空腹、疲労、ストレス、月経、アルコール、天候や気圧の変化など、さまざまな誘因があります。人によって誘因は異なるため、「頭痛が起こった日には何があったのか」を記録しておくことも治療に役立ちます。

「痛くなったら鎮痛薬」だけでは十分ではありません

軽い片頭痛であればアセトアミノフェンやイブプロフェンなどの鎮痛薬で対応できます。

しかし、痛みが強い場合には「トリプタン製剤」という片頭痛専用の薬を使わないと抑えられません。

トリプタンは、片頭痛に関係する神経や血管に作用し、発作を抑える薬です。

イミグラン®(スマトリプタン)、ゾーミッグ®(ゾルミトリプタン)、レルパックス®(エレトリプタン)、マクサルト®(リザトリプタン)、アマージ®(ナラトリプタン)などがあり、それぞれ効果の出方や持続時間などに特徴があります。片頭痛が始まったら、適切なタイミングで使用することが重要です。日本の「頭痛の診療ガイドライン2021」でも、トリプタンは片頭痛の急性期治療における重要な薬剤として位置づけられています。

ただし、心臓や血管の病気などによっては使用できない場合がありますので、自己判断で使用するのではなく、医師に相談しましょう。

頭痛が多い人には「予防薬」という選択肢があります

「毎月何度も片頭痛が起こる」「頭痛のために仕事を休むことがある」「急性期の薬を頻繁に飲んでいる」という方では、頭痛が起こってから治療するだけでなく、「頭痛そのものを起こりにくくする」予防治療を検討します。以前から、血圧の薬、てんかんの薬、抗うつ薬などが片頭痛の予防に使用されてきました。

そして近年、片頭痛治療を大きく変えたのが「CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)」を標的とする薬です。

抗CGRP抗体~月1回の注射による予防治療~

「エムガルティ®」は、CGRPに対する抗体製剤で、片頭痛の発症を抑えるために使用します。皮下注射で、通常は月1回投与します。これまでの予防薬とは異なる仕組みで片頭痛を抑える薬で、片頭痛の回数を減らし、生活の質を改善することが期待できます。「毎月何日も頭痛で困っている」という方にとって、有力な治療選択肢の一つです。抗CGRP抗体には他にも「アジョビ®」、「アイモビーグ®」といった3種類の注射薬があります。

アクイプタ®~飲み薬になったCGRP関連薬~

2026年には、片頭痛予防の新しい選択肢として「アクイプタ®」が登場しました。アクイプタ®は注射ではなく、毎日服用するタイプの予防薬であることが大きな特徴です。「注射は苦手」という方にとって、飲み薬でCGRPを標的とした予防医療ができることは大きなメリットです。

ナルティーク®~発作時にも予防にも使える新しい飲み薬~

「ナルティーク®」もアクイプタ®と同じ内服のCGRP受容体拮抗薬ですが、使い方が異なります。ナルティーク®は、片頭痛発作が起こったときの「急性期治療」と、片頭痛が起こることを抑える「発症抑制」の両方に使用できる薬として承認されています。日本で初めて、CGRP受容体拮抗薬としてこの2つの目的に使用できる薬剤です。

 

CGRP関連薬の登場により、片頭痛治療は「痛くなったら鎮痛薬」という時代から、「発作を抑える薬」と「発作そのものを減らす薬」を組み合わせて治療する時代へと変化してきています。

漢方薬も治療の選択肢です

片頭痛の治療では、漢方薬が有効な場合もあります。

代表的なのが「呉茱萸湯(ごしゅゆとう)」です。特に、片頭痛に吐き気を伴ったり、手足の冷えがあったりする方などで使用されます。

「五苓散(ごれいさん)」は、天候や気圧の変化で頭痛が悪化する方、めまいや吐き気を伴う方などで使用されることがあります。

そのほか、肩こりを伴う場合には「葛根湯」、高齢者の慢性的な頭痛などでは「釣藤散」などが選択されることがあります。漢方薬は「片頭痛なら全員この薬」というものではなく、頭痛の特徴や体質、冷え、吐き気、めまい、肩こりなどを考慮して選択します。

最近の頭痛専門外来の報告でも、標準的な薬物治療で十分な効果が得られなかった患者さんに漢方薬が使用され、一定の有効性が報告されています。

「薬を飲みすぎる」ことにも注意しましょう

もう一つ大切なのが「薬剤使用過多による頭痛」です。頭痛が頻繁に起こると、鎮痛薬やトリプタンを飲む回数が増えます。しかし、薬を頻繁に使用することによって、かえって頭痛が慢性化してしまうことがあります。「薬を飲めば一時的には楽になるけれど、最近頭痛の日が増えてきた」という場合には、一度治療方法を見直す必要があります。このような場合こそ、頭痛を抑える薬を増やすだけではなく、予防治療によって「頭痛が起こる回数そのものを減らす」ことが重要になります。

こんな頭痛には注意してください

一方で、「いつもの片頭痛」と思っていても、別の病気が原因である場合があります。突然、経験したことのない激しい頭痛が起こった場合、発熱や意識障害、けいれん、手足の麻痺・しびれ、言葉が出にくいなどの神経症状を伴う場合、頭を打った後に強い頭痛が出た場合、あるいは今までと明らかに性質の違う頭痛が続く場合には、片頭痛と決めつけず、早めに救急対応が可能な医療機関を受診してください。

「頭痛は仕方がない」と諦めないでください

片頭痛は長年付き合っていく病気と思われがちですが、治療方法は大きく進歩しています。トリプタンなどの「発作を抑える薬」、エムガルティ®などの「注射による予防薬」、アクイプタ®などの「飲む予防薬」、ナルティーク®などの「発作時にも予防にも使える薬」、そして漢方薬など、患者さんの症状や生活スタイルに応じてさまざまな治療法を選択できるようになりました。新しい薬は値段が高いのが難点ではありますが、長年片頭痛に悩まされている方にとってはその値段に見合うような効果が得られるかもしれません。

大切なのは、「頭痛を我慢すること」ではありません。

頭痛の回数、痛みの強さ、吐き気や光過敏などの症状、月経や天候との関係、使用している薬などを記録していただくと、治療方針を決めるうえで非常に役立ちます。「頭痛があるのが当たり前」と諦めず、一度ご相談ください。

片頭痛の治療目標は、単に「痛みをゼロにする」ことだけではなく、頭痛によって失われていた仕事、家事、趣味、旅行などの日常生活を取り戻すことです。

参考文献

・日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会監修.頭痛の診療ガイドライン2021.

・日本頭痛学会.頭痛ガイドライン/CGRP関連新規片頭痛治療薬ガイドライン.

・厚生労働省・日本医療研究開発機構関連資料.ガイドラインで推奨されている漢方薬と次の一手.

・日本頭痛学会誌.頭痛専門外来における漢方薬の選択方法とその有効性.

日本語ってムズカシイ…

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