コロナ、インフル同時流行
新型コロナは現在流行しているの?
発熱で受診する患者さんに新型コロナの検査が陽性であった事を伝えた際に「新型コロナは現在流行しているの?」と質問されることが結構あります。
5類になってから報道される機会が減ってしまい、流行していないように感じる方もいるかもしれませんが、すご~く流行しています。
図1は厚生省が発表しているデータからから引用した図です。
5月を境に測定方法が変わっているため参考値となりますが、9月に入っても右肩上がりに新型コロナ感染者数が増加しています。
新型コロナの感染者数が増加している一因として、今年の5月に5類感染症へ分類を移行したことがあると思われます。
感染者数が報道されなくなり、マスクをしない人の割合が増えたことなどから感染者数が増加しています。
また、今までのワクチン接種で得た免疫を逃れるXBB.1.5という変異株が増えていることも感染者数増加の一因だと思われます。
インフルエンザも流行しているの?
例年であればインフルエンザは11月から12月に流行が始まり、1~3月頃にピークを迎えて春には下火になります。
このため、例年通りであれば9月は流行する時期ではないのですが、現在発熱で受診する患者さんの中にインフルエンザが陽性になる方が少なからずいます。
季節性インフルエンザは全国約5千ヶ所の定点医療機関から報告された1週間の患者数が、1施設あたり「1人」を超すと「流行」と判断します。図2をみるとわかるように、季節性インフルエンザの流行が昨年末からずっと継続したまま次の流行シーズンに入ろうとしています。
これは現在の集計方法になった1999年以来初めての現象のようです。
コロナ禍になって最初の頃は多くの人がマスク、うがい、手洗いを徹底していた効果もあってインフルエンザの流行がありませんでしたが、昨年末から季節性インフルエンザが3年ぶりに流行しています。
そして、1施設あたり「1人」を下回らないまま増加してきました。
あるウイルスが体内の細胞に感染すると他のウイルスには感染しにくくなるという「ウイルス干渉」があるため、新型コロナとインフルエンザは同時流行しないという説を唱えていた先生や有識者もいました。
しかし、実際には同時感染を起こしている症例が報告されています。同時流行も起きています。
ウイルス干渉の説は間違っており、実際は新型コロナに感染しないようにマスク、うがい、手洗いなど感染対策を行っていた人の割合が高くなった効果で季節性インフルエンザの流行が抑えられていた可能性の方が高いです。
これから新型コロナと季節性インフルエンザの同時流行が更に悪化する可能性があるにも関わらず、巷では咳止め、去痰薬、解熱剤の供給が不足しています。
マスク、うがい、手洗い、ワクチン接種などをしっかりと行って、どちらのウイルスにも感染しないように気を付けてください。