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ネフィー®点鼻液の処方医登録

[2025.11.09]

今週アナフィラキシー補助治療剤であるアドレナリン点鼻液(ネフィー®点鼻液)の処方医登録を行いました。

このため、今回はネフィー®点鼻液についての院長ブログを記載しました。

 

ネフィー点鼻液とは

拙著「ねころんで読めるアレルギー」にも記載してあるのですが、アナフィラキシー治療の第一選択はアドレナリン投与です。

量や投与経路の間違いが起きないように工夫されたペン型の注射製剤として2003年からエピペン®が本邦で販売開始されていました。

しかし、注射の製剤ということもあり、躊躇する患者さんが少なからずいるという問題がありました。このため、鼻スプレーや舌下投与、吸入といった新しいアドレナリンの投与方法を用いた製品の開発が進んでいます。

その結果、2025年8月にネフィー®点鼻液が承認され、今後市場に出回ることが決定されました。

ネフィー®点鼻液は1mgと2mgの2規格が販売予定であり、体重が15~30kgの患者さんは1mg、30kg以上の患者さんは2mgを鼻腔内に投与します。

効果不十分な場合は10分以降を目安に2回目の投与ができます。

15kg未満の患者さんへ投与した成績はまだ得られていませんので、救命を最優先としつつ患者ごとの症状に合わせて慎重に判断する必要があります。

ネフィー®点鼻液は医師であれば誰でも処方できる訳ではありません。エピペン®同様に事前に動画を視聴し、その後出題された問題で全問正解する必要があります。

筋肉注射と点鼻での効果の違いは?

臨床試験では筋肉注射と同等の効果が確認されています。

しかし投与経路が鼻腔であるため、鼻の刺激、鼻水、頭痛、吐き気といった副作用が報告されています。

また、アドレナリンの筋肉注射よりも血圧や心拍数の上昇が強いため、血圧が急激に上昇して脳・心臓・腎臓などの臓器に障害が生じる血圧クリーゼが出現するリスクが高くなる可能性が指摘されています1)

適切な使い分けに関しては今後使用症例が増えてきた後に変わってくるかもしれませんが、個人的には高血圧のリスクが高くなる年齢の患者さんの場合はエピペン®、注射に過度の恐怖心がある若年齢の患者さんの場合はネフィー®点鼻液という使い分けを考えています。

1)Casale TB,  et al. Pharmacokinetics/pharmacodynamics of epinephrine after single and repeat administration of neffy, EpiPen, and manual intramuscular injection. Journal of Allergy and Clinical Immunology 2023; 152:1587-96.PMID: 37604314

鼻が詰まっていても効果があるのか?

鼻スプレーであるため鼻閉や鼻水があっても有効なのかどうかは非常に気になる点です。この点ついての研究はすでに行われており、鼻閉があっても効果に差がないようです2)

また、風邪で鼻水が出ている時でもアドレナリン血中濃度には差が認められなかったようです。

しかし臨床研究では健康な成人ボランティアに対して安全を担保した状況で試験を行っているため、実際の状況とは異なる可能性があります。アナフィラキシーの症状として鼻水がズルズル出始めた状況でも効くのか?患者が倒れてしまい第三者がアドレナリンを投与するといった状況下で点鼻と筋肉注射で確実性が高いのはどちらなのか?といったことは実証されていないため今後さらなる研究が必要です。

2)Dworaczyk DA, et al. Randomized trial of pharmacokinetic and pharmacodynamic effects of 13.2 mg intranasal epinephrine treatment in congestion. Ann Allergy Asthma Immunol 2024;133(2):186-193.e2.PMID: 38719149

 

上記の他にアナフィラキシーの診断基準、薬剤や食物によるアナフィラキシー症状出現速度の違い、エピペン開発・販売の裏話などアナフィラキシーについてもっと深く学びたい方は拙著「ねころんで読めるアレルギー」を読んで頂けたら幸いです。

 

つぶやき

今回取り上げたエピペン®、ネフィー®点鼻液だけでなく、シダキュア®、ミティキュア®、アシテア®など動画を見た後に試験で全問正解して登録した医師でないと処方ができないアレルギー関連の薬が増えて来ています。

医師は勤務時間帯しか仕事をしていないと思う方もいるかもしれませんが、実は診療の質を維持するために勤務時間外も結構な労力を割いています。

前述した処方資格を得るための動画視聴・試験は一度だけで大丈夫ですが、専門医・指導医の維持などには定期的な学会参加やセルフトレーニング問題の解答などが必要です。

難病指定医の維持にもオンライン研修と試験が必要です。

肺がん検診を行うには肺がん健診講習会、区の健康診断を行うには健康診査等事業説明会といった各自治体の医師会が開催する講習会を年に1度受講する必要があります。

他にも医師会に所属していると介護認定審査委員会などなど色々な役割が降ってくることもあります。

馬車馬のように…とはいきませんが、多くの患者さんのニーズに合わせて対応できるように今後も研鑽を積んでいきたいと思います。

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