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ハラスメント対策義務化

[2026.10.01]

カスタマーハラスメント(カスハラ)対策は、2026年10月1日よりすべての企業において義務化されます。医療機関においても、患者さんからの過度な要求や迷惑行為であるペイシェントハラスメント(ペイハラ)への対策が同様に義務付けられることになりました。

すべての患者さんに安心して質の高い医療を受けていただくため、そしてスタッフが安全に働ける環境を守るために、ハラスメント対策への取り組みを進めております。

医療機関におけるハラスメント対策義務化とは?背景と法的な位置づけ

ハラスメント対策の義務化は、2025年6月に成立・公布された改正労働施策総合推進法(令和7年法律第63号)に基づいています。この法改正によって、顧客や取引先、患者さんなどからの著しい迷惑行為に対し、事業主が雇用管理上の適切な措置を講じることが法的な義務として明確に定められました。

これまで医療現場における理不尽な要求への対応は各施設の努力義務にとどまっていましたが、法改正により企業規模を問わず完全な義務へと格上げされました。当院のようなクリニックにとっても、環境整備は重要な責務となります。

ペイハラの定義と具体的な該当例

法律上、カスハラやペイハラに該当する行為は、事業に関係する者の言動であり、社会通念上許容される範囲を超えて労働者に過度な負担を与え、就業環境を害するものの3点をすべて満たすものとされています。

医療現場において正当なご意見や苦情をいただくことは、医療安全の向上やクリニックの運営改善につながる大切な契機であり、これらはハラスメントには当たりません。しかし、社会的な常識の範囲を大きく超える要求や長時間の拘束などはペイハラに該当します。

具体的には、次のような言動が問題視されます。

  • 受付や診察室で大声を出して威圧・脅迫する行為
  • 土下座や謝罪文の作成を執拗に強要する行為
  • 理不尽な理由による金銭の要求
  • 長時間の居座りや頻回・執拗な電話による業務の妨害
  • 診察終了後や退去を求められても院内から退去しない行為
  • インターネット上での事実無根な書き込みや誹謗中傷

過剰な要求や迷惑行為に対して成立しうる刑法上の罰則

医療機関に対する度を越えた迷惑行為は、単なるマナー違反にとどまらず、法的には加害者個人に対して刑法上の犯罪が成立する可能性があります。

たとえば、大声を出して脅す行為には脅迫罪(刑法222条-2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金)、土下座や謝罪文を強要する行為には強要罪(刑法223条-3年以下の拘禁刑)が適用されることがあります。

また、理不尽な金銭要求は恐喝罪(刑法249条-10年以下の拘禁刑)、大声や居座り、執拗な電話は威力業務妨害罪(刑法234条-3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)、退去要請に従わない場合は不退去罪(刑法130条後段-3年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金)に問われる恐れがあります。

さらに、虚偽のクチコミ投稿による妨害は偽計業務妨害罪(刑法233条-3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)、SNSやレビューサイトでの誹謗中傷は名誉毀損罪(刑法230条)や侮辱罪(刑法231条)に該当することが考えられます。

当院でも過去に威圧的な態度を取り当院の受付に対して謝罪文を要求した方、執拗な電話により長時間にわたって業務妨害した方、診察終了後に退去を促しても応じないで居座った方、虚偽のクチコミを投稿した方などがいました。今後はこういったペイハラに対してより厳格に対応していくことになります。

インターネット上の口コミ・レビューに関する注意点

医療機関に対するインターネット上の悪質なクチコミ投稿についても注意が必要です。小規模のクリニックでは、受診日時や診察室・受付でのやり取りの経緯から、一般的な対応から外れた行為をされた方が誰であるか客観的に把握できるケースが少なくありません。

実際に、当院に対して★1をつけた患者さんはほぼ全員書いた人を特定できています。★1~2といった低評価をしたにも関わらずその後も当院に受診する人を複数名確認しており、どういう神経なんだろう?…と唖然としながら対応することもあります。

感情的な書き込みや事実と異なる誹謗中傷を書き込む行為は、書いた本人が忘れていても画面のスクリーンショットや電子カルテへの記載によってずっと残されることになります。場合によっては法的な責任を問われるリスクを伴うため、一時的な感情に流されずによくよく考えてから行動することをお勧めします。

医療機関としての取り組みと適切な診療環境の維持に向けて

法律の義務化に伴い、医療機関には基本方針の策定、相談体制の構築、事後対応のルール化、スタッフへの教育研修などの体制整備が求められています。

当院では、義務化の前より下記のような院内への掲示などを通じて適切な院内環境づくりへのご協力をお願いしてまいりましたが、今後は法改正の趣旨に基づき、より一層の体制強化と毅然とした対応を行ってまいります。

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