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ピーナッツアレルギーとNews 23

[2024.07.04]

2024/7/3の外来終了後の残務中、19時過ぎにかかってきた電話に出たらTBSからの取材依頼の電話でした。

「ビアードパパの成分表示に落花生が抜けていたことでアレルギー症状が起きた人が2人出たので、ピーナッツアレルギーについて専門家としてのコメントが欲しい」という依頼でした。

最初はアレルギー関連の説明は短い時間では正しく伝えられないので、忙しいといって断ろうと思いました。

しかし、夜遅くまであちこち取材依頼の電話をして大変だろうな…とも思ったので数分ならOKと返事をして取材を受けることにしました。

取材内容は同日23時から放送された「ニュース23」で報道されました。

見逃した方も、「TBS NEWS DIG」でも見ることができるようです。

Bing 動画

報道で流れたのはごく一部ですので、TVでは伝えきる事ができなかったピーナッツアレルギーの詳細について院長ブログを記載しました。

 

ピーナッツアレルギーとは

ちなみにピーナッツはナッツと名前についていますが、マメ科の植物であり、正式名称をArachis hypogaeaといいます。

このため、ナッツ類にアレルギーがあっても食べられることが多いです。

ピーナッツアレルギーではピーナッツのどの成分に対してアレルギーを持っているのかで危険度が大きく異なります。

2SアルブミンであるAra h 2が原因の場合はアナフィラキシーという重篤なアレルギーを起こす可能性が高いため厳格な注意が必要です。

Ara h 2特異的IgE抗体陽性の場合はエピペンという緊急時に使用できる注射製剤を携帯すべきです

一方、ハンノキやシラカバなどの花粉症の交差反応でピーナッツアレルギーとなった場合は生体防御タンパク質10群(PR-10)、キク科花粉症の場合はプロフィリンが原因タンパクとなります。

この場合は症状が口腔内だけという軽めの症状だけの場合が多いです。

拙著 アレルギー検査のミ・カ・タから抜粋

事の詳細

発症数や重篤度から特定原材料8品目〔えび、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生(ピーナッツ)〕に表示が義務付けられています。

また、特定原材料に準ずるものとして20品目〔アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、マカダミアナッツ、もも、やまいも、リンゴ、ゼラチン〕の表示が推奨されています。

ビアードパパのシュークリームはそれぞれの製品に関してしっかりアレルギー原材料が記載されています。

bp_allergy_2024_07_06.pdf (beardpapa.jp)

今までの製品は小・卵・乳成分・オレンジ、くるみ、大豆、バナナ、もも、りんご、ゼラチン、ごま、カシューナッツ、アーモンドを使用した整備で製造しておりましたが、今回7/1から新販売された「ブラックモンブランシュー」は他社とのコラボ商品でした。

今までの生産ラインでは使用されていなかった落花生の記載が漏れていて、事前に気づくことが出来ずにこの商品を食べたピーナッツアレルギー患者さん2人に症状が出てしまったようです。

「ブラックモンブラン」自体は竹下製菓株式会社で作られた今年55周年を迎える九州のソウルアイスです。

「ブラックモンブラン」には表示義務のあるアレルギー物質28品目中、乳成分・卵・小麦・落花生・大豆がちゃんと記載されています。

ブラックモンブラン|竹下製菓株式会社 (takeshita-seika.jp)

ブラックモンブランはカレーなど他の商品ともコラボしており、「ブラックモンブランカレー」の成分表示を見るとクッキークランチの方に落花生(ピーナッツ粉)が含まれているようです。

ブラックモンブランがカレーになりました 190g | 宮島醤油宮島醤油 (miyajima-soy.co.jp)

落花生(ピーナッツ粉)はサクサク感のある美味しいクッキークランチの食感を出すのに必須の成分なのだと推察されます。

記載が漏れたことでアレルギー症状を起こしてしまった患者さんがいたのは残念ですが、すぐに販売中止の対応をとったビアードパパさんの行動は評価すべきだと思います。

今回の「ブラックモンブランシュー」は共同企画製品であり、クッキークランチ自体は他社で作成されていて落花生の使用に気づきにくかったのかもしれません。

今まで使用していたアレルギー原材料一覧表には今まで自社の製造ラインでは未使用であった「落花生」の項目がなく、新しく一覧表自体を作り替えないといけない状況だったことも見落としの一因だと思われました。

おそらく今回アレルギーが出た方はビアードパパのファンで、今までおいしく食べられていたから今回も大丈夫だろうと信頼しきって食べたのだと思います。

私もビアードパパのシュークリームは大好きです。

アレルギー原材料一覧を改訂し、改めて「ブラックモンブランシュー」を販売してくれることを期待しております。

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