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プリックテスト

[2025.03.30]

先週にコチニールアレルギーのブログを記載したことで「コチニールアレルギー検査をしたい」という問い合わせが複数ありました。

残念ながら誰に対してもすぐに対応できるような検査ではないため、その理由と検査方法について今回のブログに記載しました。

プリックテストの検査と判定方法

プリックテストはバイファケイテッドニードル®やSmartPractice®プリックランセットといったプリックテスト専用針と検査したいアレルゲン、陽性コントロール(ヒスタミン二塩酸塩10mg/ml)、陰性コントロール(生理食塩水)を用いて行います。

検査に用いる液体を1滴皮膚に滴下し、専用針でプリック(突き刺し)して15~20分後に膨疹の大きさをmm単位で図1のように測定し、膨疹系が3mm以上もしくは陽性コントロールの膨疹の半分以上を陽性と判断します。

プリックテストの長所・短所

プリックテストの長所は迅速性(15~20分で結果が得られる)、経済性、感度の高さです。

また、市販されていないアレルゲンに関してもprick-to-prick test(prick-by-prick test)で評価ができるという利点もあります。

皮膚で行う検査はマスト細胞上に結合したIgE抗体がアレルゲンによって架橋され、ヒスタミンが遊離した結果生じる膨疹や紅斑を見ているため、実際のアレルギー反応をより正確に捉えられる可能性が高いと考えられており、多くのアレルゲン項目に関して血液検査よりも皮膚テストの方が真のアレルギー診断に対して診断感度、特異度が高いことが知られています。

皮膚テストが適切に行われれば、アナフィラキシーなどの全身反応の誘発率は高くありません。

しかし、コントロール不良の喘息患者、ごく少量のアレルゲン暴露でアナフィラキシーなどの重篤反応を来した病歴を有する患者、アドレナリンをはじめとするアナフィラキシー治療にリスクを伴うような疾患を合併している患者では血液検査を優先すべきとされています。

プリックテストの短所は

・ヒスタミンH1受容体拮抗薬内服中の患者では偽陰性となること

・アレルゲンエキスの標準化が行われていないアレルゲンが多く、再現性や定量性が高くないこと

・不溶性の蛋白が原因のアレルゲンの場合は溶出の問題で感度が低くなること

・活動性の皮膚疾患がある場合には検査を行い難いこと

・医師の診療時間がかかる割には診療報酬が低いため通常診療として行っていない施設が多いこと

などがあげられます。

プリックテストの保険点数

採血で行う抗原特異的IgE検査の場合は1項目につき110点(1100円)かかり、検査項目がないアレルゲンは調べることができません。

1項目ずつ選択した場合には1月に検査できる項目は13項目までという制限もあります。

一方、プリックテストは21箇所以内の場合は1箇所につき16点(160円)、22箇所以上の場合は1箇所につき12点(120円)です。

1割負担の方は1箇所12~16円、3割負担の方でも1箇所36~48円で検査できることになります。

検査費用が非常に安く、採血項目にないアレルゲンについても検査できるため費用対効果が高い検査です。

プリックテストを行う医療機関が少ない理由

医療機関側からすると強いアレルギー反応反応が起きたときに対処できるように医師がすぐに対応できる状況下で行わないといけないこと、採血と違って検査を医師が行わないといけないこと、特殊なアレルゲンを検査する場合には準備に時間がかかることなどから、経営的には手を出したくない検査の一つとなっているのが現状です。

物価や時給が上がっているにも関わらず保険点数は何十年も据え置きのままなので、現在プリックテストを行う医療機関は多くありません。

しかし、先週ブログで記載したコチニールのアレルギーや大根アレルギーなど皮膚テストなしでは診断できない食物アレルギーは数多くあります。

特殊な項目であればあるほどアレルゲンの準備に時間がかかります。

コチニールの場合はコチニールカイガラムシから色素を抽出して準備する必要があります。

また、以前私が大根アレルギーと診断し、症例報告した際には生の大根とゆでた大根、その他交差反応しそうなアブラナ科の野菜を用いて皮膚テストを行いました。

A case of hand urticaria, lip angioedema, and oropharyngeal pruritus induced by Japanese radish through IgE-mediated immediate allergic reaction

DOI: 10.1186/s13223-021-00538-1

開院当初は患者数が少なかったため診療時間中にプリックテストを行った患者さんもいました。

しかし、現在そのような時間的余裕がありません。

このため、火曜日・金曜日の14:40~15:00という通常の診療時間外に皮膚テストを行う枠を作ることにしました。

どうしても皮膚テストなしでは診断することができない患者さんが現れたときだけ、事前に同意説明書を記載して頂いたうえで臨時対応させて頂きます。

 

👇コチニールアレルギーのブログはこちら👇

コチニールアレルギー

👇大根アレルギー等のブログはこちら👇

取材記事が掲載されました(FRaU web)

セカンドオピニオンについて

食物アレルギーのセカンドオピニオンも同じく火曜日・金曜日の14:40~15:00の時間枠で臨時対応させて頂きます。

セカンドオピニオンとは、「second(セカンド)/ 第2の」「opinion(オピニオン)/ 意見」で、「第2の意見をきく」ことを指しています。

「患者や患者家族が納得のいく治療を選択できるように、違う医療機関の医師に相談して意見を聞いてみること」であり、検査や治療は行ないません。

主治医から承諾を得ていない場合、診療情報提供書など判断材料がない場合はセカンドオピニオンではなく、ドクターショッピングと言われ医療従事者の受ける印象は良くありません。

 セカンドオピニオンも通常の時間外で臨時対応すること、自由診療に相当することから別途予約料を徴取させて頂きます。

セカンドオピニオンは自由診療扱いですが、かかる費用や交通費などは、医療費控除の対象となります。

※医療費控除とは、1世帯あたり1年間に合計10万円以上の医療費を支払った場合において、控除が受けられる制度です。

(保険金などを受け取った場合には、その金額を差し引いた上での金額です)

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