初診と再診の違い (4コマあり)
窓口でのお会計の際、ふと「今日は初診料なのかな?それとも再診料なのかな?」と疑問に感じたことはありませんか。実は、保険診療における初診と再診の区別には、国が定めた細かなルールが存在します。今回は複雑に思われがちな診療費の仕組みについて具体例を挙げてお伝えします。
初診料と再診料の基本的な違いとは
医療機関を受診した際に、基本となる診察代金が初診料と再診料です。これらは、医師による診察そのものに対する評価として設定されています。
2026年6月の診療報酬改定では、物価高騰などの社会情勢を踏まえ、再診料が少しだけ引き上げられることになりました。これまで750円だった再診料が760円となり、3割負担の方であれば窓口での支払いが225円から228円へと変わります。
一方で、初診料は2910円(3割負担で873円)のまま据え置かれています。
この他にも色々な加算が今回の診療報酬改定で変更になりましたが、今回は純粋な初診料と再診料についてだけ記載させて頂きます。
初診料は、初めてその医療機関を訪れた際だけでなく、久しぶりに受診した場合にも発生します。これは、医師が患者さんの新しい体調の変化をゼロから把握し、診断を下すために必要なコストが含まれているためです。
対して再診料は、既に診断がついている病気に対して継続的に通院している際にかかる費用となります。
初診か再診かの判断は、単に「前回来たことがあるか」という点だけではなく、以下の3つのポイントが重要になります。
- 前回の受診から一定期間(目安として3ヶ月以上)が経過しているか
- 前回の症状が治っていたか
- 前回の処方薬が継続して必要とされる状態か
「3ヶ月」という期間が判断の目安になる理由
保険診療のルールでは、前回の受診から期間が空いた場合、前回の病気との関連が薄れたとみなされ、初診扱いになることが一般的です。多くの医療機関では、この期間を「3ヶ月以上」として設定しています。これは、医学的にも3ヶ月以上の間隔が空くと、以前の症状が落ち着いた後に新しい体調の変化が起こったと考えるのが自然だからです。
ただし、この3ヶ月という数字はあくまで一つの目安に過ぎません。病気の種類や、医師がどのように経過を観察すると決めたかによって判断は変わります。例えば、喘息などの慢性疾患で治療を続けている場合、3ヶ月以上空いたとしても、それが計画的な受診であれば再診として扱われることもあります。逆に、1ヶ月しか経っていなくても、完全に治った後に別の病気にかかったのであれば初診料が発生します。
ケーススタディで学ぶ初診と再診の具体例
どのような状況で初診扱いになり、どのような時に再診扱いになるのか、具体的な5つの例を挙げて見ていきましょう。これらの事例は、私たちのクリニックでもよく見られるパターンに基づいています。
例1. 季節によって症状が出るアレルギーの場合
2月中旬にスギ花粉症で受診し、その後しばらく受診がなく、9月にキク科の花粉症の症状で受診したケースです。この場合、前回の受診から半年以上が経過しているため、久しぶりの受診として初診料になります。花粉症という点では似ていますが、原因となる物質や季節が異なるため、改めて診断を行う必要があるからです。
例2. 計画的に長期のお薬を処方されていた場合
喘息の治療を継続している方が、妊娠や出産などの事情で数ヶ月受診できないことが分かっており、医師の判断で4ヶ月分のお薬を処方していたケースです。お薬がなくなる4ヶ月後に受診した際は、前回の指示通りの継続的な受診とみなされるため、再診料となります。期間が3ヶ月を超えていても、治療が途切れていないと判断される好例です。
例3. 自己判断で通院を中断してしまった場合
1月に咳で受診し、喘息の診断でお薬をもらって一度は良くなったものの、2月の受診を最後に通院を自己中断してしまったケースです。その後4月に風邪をきっかけにまた咳が出始めた場合は、たとえ前回の受診から3ヶ月以内であっても、初診料となります。治療を中断したことで、改めて症状の評価が必要になるためです。
長引く咳が心配な方は「気管支喘息」のページを参照してください。
例4. 前回の病気とは別の新しい症状が出た場合
1月にインフルエンザで受診し完治した後、2月末に今度は胃の痛みで受診したケースです。前回の受診から1ヶ月程度しか経っていませんが、インフルエンザと胃の痛みには直接的な関係がないため、新しい病気に対する診察として初診料が発生します。短い期間であっても、病名が変わる場合は初診扱いとなります。
しかし他の疾患で定期的に通院していた場合の風邪対応などは新しい症状であっても再診料となります。
例5. 特殊なお薬を定期的に受け取る場合
アナフィラキシー対策のエピペンを処方され、1年後に使用期限が切れるため再度受診したケースです。前回の受診から1年が経過していますが、これはお薬の特性上、必要なタイミングでの継続的な受診と判断されるため、当院では再診料として対応しています。
ただし、このような判断は医療機関によって異なる場合があるため、確認が必要です。
中村橋いとう内科クリニックの診療方針
当院は、呼吸器やアレルギー、糖尿病といった慢性疾患の診療に力を入れています。これらの病気は、適切なコントロールを継続することが、合併症や重症化を防ぐために極めて重要です。そのため、基本的には最長でも60日分までの処方とさせていただいております。
私たちは、以下のような診療方針を掲げています。
- 診察なしにお薬だけを処方する行為は行わない
- 喘息や糖尿病などの慢性疾患において、自己中断のない治療を目指す
- 3ヶ月以上受診がない場合は、原則として病名をリセットし、初診として改めて全身状態を把握する
特に喘息を患っている患者さんに多いのが、症状が軽くなったために受診をやめてしまう、いわゆる自己中断です。しかし、肺や気道の炎症は目に見えないところで続いていることが多く、3ヶ月以上放置した後に風邪などをきっかけに急激に悪化して来院されるケースを多々見てきました。当院は電子カルテで受診間隔を確認し、一定期間受診がないと初診扱いとなるような対応をしています。これはコスト面だけでなく、診療の質を担保するための仕組みでもあります。
初診料・再診料についてのよくある質問
Q1. 以前通っていたのと同じ症状で受診すれば必ず再診料になりますか?
A1. いいえ、そうとは限りません。同じ症状であっても、前回の受診から長期間(一般的に3ヶ月以上)経過している場合や、一度治ったと判断された後に再発した場合は、初診料となることが一般的です。
Q2. お薬が残っている状態で期間が空いた場合はどうなりますか?
A2. 医師の指示通りにお薬を服用しており、お薬がなくなるタイミングでの受診であれば再診料となる可能性が高いです。しかし、自己判断でお薬を間引いて服用し、結果として期間が空いてしまった場合は、治療の中断とみなされ初診料となることがあります。
Q3. 複数の診療科がある病院で、別の科にかかったらどうなりますか?
A3. 別の診療科を初めて受診する場合は、その診療科における初診料が発生するのが原則です。ただし、同じ日に複数の科を受診する際などは、特定の加算によって費用が調整される仕組みもあります。
院長よりメッセージ
ここまで初診料と再診料の違いについて細かく解説してきましたが、私たち医師が最も大切にしているのは、費用の区別そのものではなく、患者さんの健康がしっかりと守られているかどうかです。
私の専門である喘息の治療において最も難しいのが「治療を継続すること」だと感じています。
医療の進歩により喘息の症状はかなり良好にコントロールできるようになってきました。しかし、喘息のようなアレルギー疾患は現在の医療では完全に治るといえない病気であるため、症状がなくても治療を継続し、検査や診察によって現在の状態を把握する必要があります。
もし治療が途切れてしまい、「久しぶりに行くのは気まずいな」と感じている方がいらっしゃれば、どうか安心してお越しください。のど元過ぎたら熱さを忘れてしまって薬を自己中断するのは「患者さんあるある」のため、何度も経験して慣れております。
私たちはいつでも、皆さんの健康の再出発をサポートする準備ができています。スタッフ一同、皆さんのご来院を心よりお待ちしております。
