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咳と薬不足

[2023.08.06]

 8月の「いとしんぶん」は咳を中心に現在問題となっている薬の供給不足について記載しました。内容が重なるのですが、今回の院長ブログでも咳と薬不足について記載します。

咳の持続する期間による分類

 咳はどれくらい長い期間続いているのかによって呼び方が異なります。下の図のように、3週間よりも短い咳を急性咳嗽、3~8週間の咳を遷延性咳嗽、8週間を超えて続く咳を慢性咳嗽と呼びます。

 患者さん的には2週間くらい咳が続いていると長いと感じ始めるため、医学的な分類と患者さんの認識にはズレがあります。

 

咳のタイプによる分類

 痰がからむような「ゴホンゴホン」という咳を湿性咳嗽と呼びます。痰がからまない「コンコン」という咳を乾性咳嗽と呼びます。他にも喉がイガイガするような違和感を伴う咳、鼻水が喉に流れ込んでくるような咳、喘鳴や呼吸困難を伴う咳、胸やけを伴う咳など咳のタイプには色々とあり、どの時間帯に多く出現するのか?どういう状況で咳が出現しやすいのか?といったことを詳しく効くことによって咳の原因を絞り込むことが出来ます。

 

 

どのような咳が多いのか?

 当クリニックを受診している患者さんで5~8月にかけて一番多い咳は新型コロナウイルス感染症による感染性咳嗽です。国立感染症研究所の報告によると新型コロナウイルス感染症患者のうち、発熱(76.8%)に次いで咳が46.1%に出現すると報告されています。ただし、この統計は届け出の時点であり、その後遅れて出現する咳を考慮すると、実際はもっと多いことが予想されます。

 

咳の薬が不足している?

 当クリニックの院長は咳の診療についてこだわって診療する医師の一人なのですが、昨今の薬不足の状況で咳の薬を使い分けることが困難になりつつあります。7月末頃からは近隣の薬局にどの薬なら処方が可能なのか確認しつつ処方しないといけない状況が続いているため、処方したい薬を選択することができなくなっています。

 不足している薬は咳に対する薬だけではありません。薬不足は全国的にここ数年続いている問題です。薬不足は2020年以降年々悪化しており、昨年末の時点では医療用医薬品全体の約3割にあたる4000品目以上が出荷調整や出荷停止の状況でした。

 医薬品が供給不足である問題を解消しないまま、新型コロナウイルス感染症を5類感染症に引き下げてしまったことで、薬不足の状況は更に悪化しております。医療資源は無限にある訳ではない為、感染防御の手を緩めすぎないようにお気を付けください

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