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喘息の吸入指導

[2025.08.31]

喘息の治療薬を処方するだけで吸入指導をしない医師が結構な割合で存在しますが、喘息の吸入薬はただ薬を処方していればOKというものではありません。

今回は吸入指導に関する院長ブログを記載しました。

 

吸入薬の種類別の注意点

なかなか喘息症状が改善しなかったり、呼気一酸化窒素濃度や呼吸機能が改善しない際になぜ改善しないのか?どこに問題があるのかを考え、時には吸入の仕方を確認して指導する必要があります。

喘息の吸入デバイスには大きく分けて定量噴霧式吸入器、ドライパウダー吸入器、ソフトミスト吸入器(SMI)、ネブライザー(液体を霧状にする機械)があり、それぞれ下記のような特徴と注意点があります。

定量噴霧式吸入器(pMDI:スプレー式)

・吸うタイミングと、ボタンを押して薬を噴霧するタイミングを合わせることが大切です。

・息をゆっくり吐ききってから、口にくわえ、噴霧と同時にゆっくり深く吸い込みます。

・吸入後は 5〜10秒ほど息を止めて、薬を肺に届けましょう。

・タイミングが合わない方には「スペーサー(補助器具)」を使うと吸いやすくなります。

ドライパウダー吸入器(DPI:粉末式)

・吸う力で薬を肺に届ける仕組みです。

・吸入前に息をしっかり吐き出し、器具を口にくわえて「一気に強く深く吸う」ことがポイントです。

・吸入後は息を止めてから、ゆっくり吐き出します。

・水分に弱いため、吸入口を濡らさないように注意してください。

ソフトミスト吸入器(SMI)

・pMDIよりも噴霧時間が長く、比較的吸いやすいタイプです。

・吸入前にしっかり息を吐き、ゆっくり深く吸い込むようにします。

・噴霧ボタンを押すと霧が数秒間出るので、その間に吸い込みましょう。

ネブライザー(液体を霧状にする機械)

・主に小児や高齢者、重症時に使用されます。

・吸入口を口にしっかり当て、深呼吸するように吸います。

・使用後は器具を洗浄・乾燥し、清潔に保つことが大切です。

共通の注意点

・毎回の吸入後にうがいをする(特にステロイド薬を含む場合)。口内のカンジダ症や声のかすれを防げます。

・舌の形を意識して吸入する。「ホ~」と声を出した時の下の形で吸入する「ホ~吸入」をすると余計なところに薬がついてしまう割合が減ります。

・定期的に残量を確認する。気付かないうちに空になっているケースもあります。

・決められた回数を守る。多く吸っても効果が増すわけではなく、副作用につながることがあります。

・医師や薬剤師に定期的にチェックしてもらう。正しい方法で吸えているか確認することが大切です。

実際の吸入指導

吸入指導の詳細については喘息学会などが解りやすく説明した動画を公開しています。

ホー吸入 / Ho Inhalation Method - YouTube

薬局に吸入指導を依頼することもあります。

この際に1回につき30点(1割負担の方は30円、3割の方は90円)の吸入薬指導可算がかかりますが、薬局の方が丁寧に指導し、その結果を指示を出した医療機関に共有してくれるためお値段以上の価値があると思います。

実際当院では初めての吸入デバイスを処方する際に「初回のため吸入指導をお願いします」と依頼をします。すると指導してくれた薬局から吸入指導後にレポートを記載してFAXで指導内容を還元してもらっています。

ところが、薬局で指導してもらったはずにも関わらず、ちゃんと吸えていないと思われる患者さんをしばしば見かけます。

その際には写真のようなトレーナー(テスターと呼ぶこともある)を用いて音が鳴るかを確認しています。

実際に確認してみると、ドライパウダー吸入器はトレーナーの音が鳴らない人が結構います。

定量噴霧式吸入器のトレーナーの方は大半の人で問題なく音が鳴ります。

しかし、当院では定量噴霧式吸入器のトレーナーですら音が鳴らなかった方を数人見かけているため、こういったトレーナーによる確認の重要性を再認識しています。

トレーナーはどこで手に入れるのか?

トレーナーは吸入薬を販売している各製薬会社さんに依頼して必要な個数を分けてもらって手に入れています。

しかし、近年は生産が中止されて手に入らなくなったトレーナが出てきました

ジェネリック薬品が市場に出回っている製品の場合はいくら確認用のトレーナーを作っても、処方される薬の大半が自社製品でなくなってしまい採算が合わないためです。

因みにジェネリック医薬品メーカーはトレーナーを作るといった方向性の企業努力は行っておらず、そもそもトレーナー生産分の利益がないような薬価まで下げられているためトレーナーの配布を要求するのは無理な注文となります。

とはいえトレーナーでの確認は重要であるため、結果として確認が困難となったデバイスでの処方は控えざるをえなくなります。

これらは国が薬価を下げすぎたり、一律にジェネリック医薬品を促進したことで起きた弊害のひとつです。

手に入りにくくなったのはトレーナーだけではありません。

近年、薬価を下げすぎたことで世界の製薬会社から日本市場は軽視されるようになってきたようです。

コロナ禍を契機に解熱剤や鎮咳薬が思うように処方できなくなっていますが、これまで以上に薬が手に入らない未来が近い将来やってくると思われます。

なんだか残念ですね…

薬不足に関連したブログはこちら👇

咳と薬不足

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