新しい肺炎球菌ワクチン
2025年に新しい肺炎球菌ワクチンであるキャップバックス®が発売されました。
現時点で使用可能な肺炎球菌ワクチンは複数種類あります。推奨されるワクチンに対する考え方は、新しいワクチンが出てくるたびに変わってきます。
このため、2025年12月現在での肺炎球菌ワクチン接種について今回の院長ブログに記載しました。
肺炎球菌性肺炎についてはこちら 👇
肺炎球菌性肺炎
なぜ複数の種類があるのか?
肺炎の原因となる菌「肺炎球菌」には、多くの「型(血清型)」があります。ワクチンは、そのうち「よく病気の原因になる型」をあらかじめ選んで、「その型に対応するワクチン」を作っています。
ただし すべての型を防げるわけではない ので、どのワクチンを使うかで「どの型を防げるか」「免疫の持ち具合」が変わってきます。
以下は、主な肺炎球菌ワクチン 4 種の違いです
| ワクチン名 |
カバーする血清型の数 |
ワクチン方式 | 特徴 |
発売年 会社 |
| ニューモバックス® (PPSV23) |
23 種 |
多糖体 |
比較的広く多くの型をカバー。ただし「免疫記憶」は起きにくく、時間とともに効果が落ちやすく5年毎に再接種が必要。 |
2006年 MSD |
|
バクニュバンス® (PCV15) |
15 種 |
結合型 |
「免疫記憶」が付きやすく効果が長持ちする。 |
2024年2月 MSD |
|
プレベナー®20 (PCV20) |
20 種 |
結合型 |
「免疫記憶」が付きやすく効果が長持ちする。 小児の定期接種や任意接種で利用可能。 |
2024年8月 ファイザー |
|
キャップバックス® (PCV21) |
21 種 |
結合型 |
成人の「侵襲性肺炎球菌感染症 (IPD)」の原因型の約 80% をカバーでき、免疫の持続が長く続く。 |
2025年10月 MSD |
なぜ新しいワクチンが出てきたのか
最初に使われ始めたワクチン(多糖体ワクチンのニューモバックス®)は、多くの型をカバーする一方で「免疫の持続が短い」「時間がたてば抗体が弱くなる」「免疫記憶がつきにくい」といった弱点がありました。
結合型ワクチン(PCV15, PCV20, PCV21 など)は「免疫記憶」をつけやすいため、長期にわたる免疫持続が期待でき、再接種の頻度が少なくて済むという利点があります。
また、上記の図を見ると解るように肺炎球菌の流行する型は時代とともに変わります。このため、最近流行している血清型に対応できるようワクチンを更新する必要があります。
一番新しいPCV21が一番最近の流行に合わせて作られたワクチンということになります。
現時点でのおススメの打ち方は?
「65 歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方」の第6版では「接種後5年以上の間隔をおいてPPSV23を再接種することが可能である」と記載されていました。
しかし2025 年 9 月 30 日に改訂された第 7 版では「PPSV23接種後の再接種を原則として選択肢としない」ことが明記されるようになりました。
つまり、今まではニューモバックスを5年毎に打つという選択肢がありましたが、今後はニューモバックス®の再接種ではなくPCVのどれかを打つことが勧められるように変わります。
現時点では下記の方が定期接種として安く接種できるのはニューモバックス®だけです。
- 65歳の方、
- 60歳以上65歳未満で心臓・腎臓・呼吸器の機能またはヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能の障害で身体障害者手帳1級程度の障害がある方(身体障害者手帳等証明できるものが必要です。)
練馬区では昨年度までは自己負担額1,500円、令和7年度からは4,000円でニューモバックス®の定期接種が可能です。
定期接種の適応に当てはまる方は安い費用でニューモバックス®を接種しておくのがおススメです。
しかし、ニューモバックス®では近年流行している肺炎球菌の血清型カバー率は50%程度まで低下しています。しかも5年すぎると効果が乏しくなるため再接種する必要があります。
このため、肺炎のリスクがある成人(高齢者、持病のある人など)は1年後にPCV(結合型ワクチン)を 1 回 接種することが勧められています。
複数種類あるPCVのうち現時点で一番おススメなのは流行株のカバー率が一番高いキャップバックス®です。
2025年10月から使えるようになったばかりであるため値段は一番高いですが、1度打てば効果が持続するため費用対効果は良いワクチンです。
「将来的な肺炎、侵襲性肺炎球菌感染症からしっかり守る」という意味で、有力な選択肢です。
なんだか今回の院長ブログはキャップバックス®押しの内容となりましたが、MSD社との癒着は一切ありません。
新しいワクチンがでたため、自分なりのおススメを説明できるように「患者さんにとって現時点で一番良いと思われる選択肢は何か?」ということをまとめたらこのような内容になったというだけです。
新しいワクチンが開発されたら適宜内容を更新させて頂きます。
接種を希望される方は受付に連絡をしてください。
当院のワクチン接種費用はこちら👇
予防接種
