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新規個別指導

[2024.12.22]

12/16(月)は臨時休診とさせて頂きましたが、この日に関東信越厚生局東京事務所で当院の新規個別指導を受けてきました。

当院を利用する患者さんには1ヶ月前からHPや受付で通知しつつ休診にしたのですが、急な休診でご迷惑をお掛けしました。

今回は「新規個別指導」について院長ブログで記載します。

 

個別指導とは

個別指導は厚生局が医療機関、保険医に対して保険診療や診察費請求を適切に行うよう指導するものです。

新規にクリニックを開業すると1年前後の期間で新規個別指導が実施されます。

コロナ禍では一時中断されていましたが、現在は以前のように実施されています。

個別指導の結果は「概ね妥当」「経過観察」「再指導」「要監査」の4つに分かれます。

不正請求などが明らかになり、要監査となった場合には結果に応じて「注意」「戒告」「取消」などの処分が下されます。

「取消」は保険医療機関、保険医としての指定の取り消しであり、最大5年間保険診療ができなくなってしまいます。

診療内容または診療報酬の請求に関し、不正の事実が認められた場合は原則として5年間分を返納する必要がでてきます。

それだけでなく40%の加算金が加えられることもあるそうです(健康保険法第58条)。

このため個別指導にはしっかりと資料をそろえて臨む必要があります。

因みに令和4年度の報告では

・監査を受けた保険医療機関等 52施設

 ・監査を受けた保険医等 90人

 ・保険医療機関の取消 18施設

 ・保険医等の取消 14人

 ・返還金 約19.7億円

とのことでした。

 

新規個別指導の流れ

実施の通知

指導日の1ヶ月前に日時が郵送されてきます。1ヶ月前だとすでにweb予約が入っていたりするので、急遽休診にして既に予約している患者さんには予約の変更を依頼して対応する必要があります。

指導日の1週間前に審査対象となる10人の患者さんの一覧と日計表を用意する2ヶ月の期間を記載した紙が郵送されます。その後に慌ててカルテのコピーだけでなく検査結果、画像や保険証のコピーなど選ばれた患者さんに関わる色々な資料を用意する必要があります。

個別指導当日

厚生局の会議室で約1時間指導が実施されます。

参加するのは厚生局または都道府県の職員、医師会から派遣される立会医師、指導を受けるクリニックの開設者(院長)とスタッフ(計3人まで)です。

個別指導の結果と措置の通達

実施日から2~3ヶ月後に結果が郵送で通知されます。

 

指導内容

指導される内容は多岐にわたり、以下にその例を記載します。

・無診察治療等の禁止(第20条)

診察を行わずに処方箋のみ交付したり、実際に診療を行っていたとしてもカルテに診察に関する記載がない場合や「薬のみ」等の記載しかない場合は無診療診察を疑われて指導されてしまいます。

 👇以下の院長ブログにも無診察治療について記載しています

「薬だけください」がダメな理由 | 中村橋いとう内科クリニック

・診療録の記載および保存(第24条)

医師は診察をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならないとされています。

保険請求に対するカルテ記載が充分に行われているかということが個別指導においてかなり重視されます。

我々医師は患者さんから話を聞き、診察や検査を行い、それに対する薬を処方します。

この際に検査を行った理由となる病名、処方した薬の理由となる病名もカルテに記載する必要があります。

しかも、検査や薬を処方した理由などが第三者にも解るようなカルテ記載をしないと指導されてしまいます。

対面診察する時間が短いと感じる患者さんが中にはいるかもしれませんが、そう感じさせてしまっているのはカルテ記載などに時間を割く必要がある事が一因かもしれません。

 

実際の新規個別指導はどうだったか?

当クリニックは院長・副院長・受付の3人体制で個別指導に臨みました。

10人分のカルテや検査結果などはかなりかさばるため、スーツケースに入れてガラガラ引っ張って持ち込みました。

同じ時間帯に指導を受けていた医療機関は15組でした。

そのうちの1組は順天堂の電子カルテが変更になった際に病棟ワーキンググループのリーダー(伊藤)とサブリーダー(魚森先生)として一緒に仕事したことのある乳腺外科の魚森先生でした。

魚森先生のクリニックはこちら👇

医院紹介|足立区北千住駅徒歩1分の乳腺専門クリニック、ケアリボン乳腺クリニック北千住

全ての組がそろって各机に移動した後、一斉に指導が始まりました。

我々のところは「初診料と再診料の値段の差はどこにあるか?」という基本的な質問から始まり、続いて持ち込んだカルテのチェックが行われ、気になる点が見つかるたびに質問と返答が繰り返されました。

幸い我々は適切な診療・検査を行い、それに対するカルテ記載をしっかりと書いていたので基本的には褒められてばかりで、予定時間よりもかなり早く指導が終了しました。

その後立会医師と雑談もしていたのですが、それでも一番最初に終了して退室しました。

しかし、隣の机ではかなり炎上していた姿がみえたので、これから新規個別指導をうけるクリニックはしっかりと対策を練って臨むことをお勧めします。

現在は2~3ヶ月後に「概ね妥当」という通知がくることを期待しながら静かに待っている状況です。

 

新規個別指導を終えて

今回の指導で「ダメなものはダメ」としっかりと断っていて良かったと心底感じました。

「今までのクリニックではこうだった…」と患者さんが要求してきたり、本来必要ではない薬の処方を患者さんが希望してきても「当院では通常の保険診療を超える要求には答えられない」とお断りしていました。

これが幸いした症例も今回の新規個別指導で選ばれていました💦

新規個別指導が終了しても、1件当たりのレセプトで基準平均点(診療所は平均点数×1.2倍)を超える上位8%の医療機関に入ると集団的個別指導に選ばれてしまいます。

内視鏡やCT・MRIなど高額な検査を行って一人当たりの支払額が多くなる医療機関は2年に一度くらいのペースで選ばれる可能性が高くなるそうです。

当院は実直に保険診療を行うクリニックであるため、「ダメなものはダメ」と断って嫌な思いをさせてしまう事があるかもしれません。

そんな時に★1つの評価をつけずにこらえて頂けたら幸いです。

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