新規個別指導 その後
2024年12月に新規個別指導を受け、3月末にその結果が通知されました。今回のブログはその結果と対応について記載します。
新規個別指導とは
新規にクリニックを開業すると1年前後の期間で新規個別指導が実施されます。当院は2023年4月に開業したので2024年12月に新規個別指導がありました。
詳細は下記をご参照ください👇
新規個別指導
新規個別指導における指導事項
「概ね良好」との評価でしたが、1点だけ指導事項がありました。
「投与間隔に上限が設けられている薬の処方についてもっと厳密に管理・確認するように」といった指導内容が記載されていました。
投与間隔に上限が設けられている薬には麻薬、向精神薬などがあります。
当院で麻薬は処方していませんが、デパスなどの向精神薬やマイスリー/ハルシオンなど睡眠薬の処方を行うことがあります。
これらの薬は一度に多く服用してしまう患者や依存してしまう患者がいるために長期処方すべきではない薬とされています。
今までは風邪など他の理由で予定外に受診した時、用事があるから早めに受診した時などに、残薬がまだある状況でも患者のニーズを優先してこれらの薬を処方していました。
しかし、今回の指導内容はその対応ではいけないというものになります。
この指摘に対して改善対策を行い、改善報告書を提出する必要がありましたので、今後当院は向精神薬や睡眠薬などの残薬を確認し、残薬が多数あるであろうと判断される状況の場合は処方を行わない対応をとらせて頂きます。
ご理解のほどよろしくお願いいたします。
処方薬はどれくらい厳しくチェックされるのか?
保険診療として薬を処方する場合は患者が払う医療費は1~3割であるため、毎月行った医療に対するレセプトを提出して残りの7~9割の診療報酬を受け取ります。
レセプトのチェックでこの医療行為は適切ではないと判断された場合は「返礼」されて残りの診療報酬を受け取ることができないことがあります。
この「返礼」が多いと医療機関の経営は成り立たなくなります。
今までは人の目だけでチェックが行われていました。このため、月が変わったら大丈夫だろうとの認識で間隔が短くても向精神薬や睡眠薬などの処方が行われることがあり、実際それでも「返礼」されずに残りの診療報酬を受け取ることができていました。
しかし、2025/2/5の夜に行われた練馬区保険医講習会で、レセプトチェックにAI(人工知能)を使うようになったことが説明されました。
マイナンバーカードや電子処方箋で他の医療機関でも処方薬が閲覧可能になっているのはAIによるチェックの布石のようです。
人の目とAIによる二重のチェックにより、残薬があるはずなのに処方していること、他院の処方と重なって処方されていることなどが今までよりも厳しくチェックされ、「返礼」される可能性が高くなるようです。
国は電子カルテ情報共有化をめざして動いており、情報が共有化されることで更に残薬チェックは厳しくなることが予想されます。
医療費の無駄がなくなって良いことなのですが、その背景には日本の財政事情が厳しくなってきたために医療費を削減したいという思惑があるようです。
他院でも同様に変わりつつあると思いますが、当院でも残薬が多数ある状況下では追加処方を行わない対策を取らせて頂きます。
急な災害時などで手元に薬が無くなってしまわないように多少のゆとりは持たせつつ、ご自身でも残薬の管理などをしっかりと行ってください。