資格更新…一部断念
医師免許や博士号は一度取得すれば一生ものですが、多くの専門資格には5年ごとの更新制度があります。日々の診療に追われる中で、この更新時期が近づくと身が引き締まる思いがします。
2026年度、私と副院長は複数の資格更新を控えています。書類の準備を進める中で、一部の資格更新を断念するという、私にとって悲しい決断をせざるを得ませんでした。今回は、医師が持つ資格の裏側についてお話ししたいと思います。
医師の資格更新には厳しい基準があります
医師が特定の分野で高度な知識を持っていることを証明するのが、専門医や指導医という資格です。これらの資格を維持するためには、5年間に一定以上の学会参加や教育講演の受講、そして実際の診療実績を証明しなければなりません。常に研鑽を積み、医療の進歩に遅れないことが求められます。
糖尿病専門医は資格更新が厳しい専門医のひとつです。このため、今回の更新にあたり副院長は診療終了後も、担当している患者さんの診療内容や指導歴を丁寧に振り返り、報告書の作成に励んでいます。もちろん院長である私の方も総合内科専門医、呼吸器専門医、アレルギー専門医の資格更新のために各種書類の作成に励んでいます。専門的な治療を安全に提供し続けるための、大切なプロセスの一つです。
糖尿病の詳細については「糖尿病」のページを参照してください。
私たちが保有する専門資格について
当院では、それぞれの分野での専門性を活かした診療を行っています。現在私たちが更新、あるいは維持に努めている資格は以下の通りです。
- 総合内科専門医・・呼吸器、循環器、消化器、腎臓、代謝内分泌、血液、感染症、神経、免疫アレルギー、内科総論など内科全般の広い知識を問われる試験に合格した医師に与えられます。
総合内科専門医数 45,635人(2026年4月時点)
- 呼吸器専門医・・ぜんそくや肺の病気など、呼吸のトラブルに関するエキスパートです。
呼吸器専門医数 7,831人(2026年1月時点)
- 呼吸器指導医・・専門医を養成・指導する立場にある、より上位の資格です。
- アレルギー専門医・・花粉症や食物アレルギーなど、免疫に関わる疾患を専門とします。
アレルギー専門医数 5,121人(2026年1月時点)
- アレルギー指導医・・専門医を養成・指導する立場にある、より上位の資格です。
- 糖尿病専門医・・糖尿病の診断から、生活習慣の改善、薬物療法までを専門的に行います。
糖尿病専門医 6,933人(2026年1月時点)
私は、呼吸器とアレルギーの専門医・指導医として、当院を受診する患者さんに高水準な医療を提供したいと考えています。一方で、副院長は糖尿病の分野で専門性を発揮しており、夫婦で力を合わせて幅広い内科疾患に対応できる体制を整えています。
アレルギー指導医とがん治療認定医の断念
残念ながら、今回私は「アレルギー指導医」の更新を断念することにしました。指導医の条件には、アレルギー専門医教育研修施設あるいは教育研修施設に準ずる施設の教育施設での週1回以上の勤務実績が含まれます。開業医として地域医療に専念する現在の環境では、この条件を満たすことが難しくなったためです。形としての指導医資格はなくなりますが、アレルギー専門医の方は今後も更新を続ける予定ですので、これまでの経験や知識が失われるわけではありません。
また、2008年から継続してきた「がん治療認定医」も、次回の更新で見送る予定です。この資格は、がん治療の基礎知識と実践技術を持つことを示すものですが、現在は肺癌(はいがん)の疑いがある患者さんを適切な病院へ繋ぐ役割が中心となっており、直接的な治療に携わる機会が減ったことが理由です。
がんの早期発見において、喫煙習慣などのリスク因子(病気を引き起こす可能性を高める要素)を把握し、的確な診断を行う能力は、引き続き大切にしていきたいと考えています。
大学病院から地域医療へのシフト
2023年に開業した後も、私は休診日を利用して大学病院での外来を継続してきました。大学での勤務は、専門医や指導医の資格を維持しやすいという利点がありますが、一方で体力的な負担も少なくありません。私が体調を崩してクリニックを休診にすることは、地域の患者さんに多大なご迷惑をおかけしてしまいます。そのため、2025年4月に大学病院の外来を後輩へ引き継ぎました。
大学に残って臨床だけでなく研究や教育に励む先生方を心から尊敬しつつ、私は「地域の町医者」としてのセカンドキャリアに完全に移行しました。そして、その代償として今回のアレルギー指導医更新ができなくなりました(涙)。
大学病院に残り続ける先生たち
大学に残り続ける先生はよほど臨床・研究・教育が好きな先生か、教授を目指している先生です。
私がいた順天堂大学の呼吸器内科医局は2026年3月末に高橋和久教授が20年間の教授生活を終えて退官しました。
2026年4月に私の呼吸器指導医更新を許可した呼吸器学会理事長が退官直前の高橋和久教授であったため、私にとっては感慨深い認定証になりました。
2026年7月に新しく呼吸器内科の教授に就任したのは宿谷威仁先生であり、これから約15年の宿谷教授新体制が始まります。
宿谷先生は山形大学を首席で卒業した私と同期の先生であり、2021年5月に一緒に准教授へ昇任しました。しかし、私と違って宿谷先生は入局当初から教授になる野望を口にするくらい優秀な先生であったため、今年ついにその野望を果たしたことになります。
宿谷先生のように教授になる力を持っている先生は大学に残り続けることができることができますが、大半の先生は大学を離れてセカンドキャリアに移行する道を途中で探し始めます。
凡才の私は医師21年目にしてセカンドキャリアに移行した訳ですが、大学では臨床だけでなく研究・教育も求められるため、臨床に集中できる今の状況の方が私には合っていると実感しております。
これからも変わらない専門的な診療アプローチ
資格の名称が一部変わったとしても、私たちが提供する医療の質に変わりはありません。
当院では、呼吸器・アレルギーの専門とする院長と、糖尿病を専門とする副院長が、それぞれの得意分野を活かして連携しています。長引く咳や息切れ、あるいは血糖値の悩みなど、どこに相談すればよいか迷うような症状でも、安心してお越しください。
