電子版お薬手帳のメリット・デメリット
紙カルテから電子カルテといった具合に近年は紙媒体から電子データへの移行が進んでいます。
メリットも大きいのですがデメリットも結構あるため、今回の院長ブログは医師の目線から見た電子版お薬手帳やアプリによる検査結果/健診データ管理のメリット・デメリットについて記載させて頂きます。
電子版お薬手帳
電子版お薬手帳とは紙で記録していたお薬手帳をスマートフォンアプリで管理できるようにしたものです。
電子版お薬手帳のメリット
・携帯電話を持っていればお薬手帳を持たなくてよい
・かさばらない
・マイナポータルと連携できるアプリもある
など複数のメリットがあります
電子版お薬手帳のデメリット
・アプリを起動して医師に見せるまでに時間がかかる
・医師側が必要と考える処方内容を確認するのに時間がかかる
・お薬手帳をスキャンして電子カルテに保存する方が圧倒的に早い
・近い日付のマイナポータルのデータは反映されない
・電子処方箋はその日のうちにデータが送信されるがデータの送受信に時間がかかる
など医療機関側にはデメリットが結構あります
医師側から見た電子版お薬手帳の総評
現時点では電子版お薬手帳アプリが乱立しており、これらのアプリと各医療機関の電子カルテは連携されていないためにデータを電子カルテに移行することができません。
患者ごとに異なるアプリで必要な情報を得るのは時間と労力がかかり、その処方歴を電子カルテに保存することもできないことから抜けが多くなり診療の質が落ちてしまいます。
実はマイナポータルの処方箋データ更新は月に一度しか行われないため、直近の処方に関しては確認することができません。
このため、マイナポータルの処方箋データはドクターショッピング的に数日で受診する医療機関を変える場合は役に立ちません。
電子データにはメリットもありますが、共有ができない電子データはかえって無駄な労力や時間を増やすだけでデメリットの方が大きくなってしまいます。
紙のお薬手帳のメリット
紙のお薬手帳はかさばるのでデメリットが多いと思うかもしれませんが、医師側にとってはメリットが結構あります。
他院で症状がよくならかなったという主訴で受診した際に私がお薬手帳で確認する項目は
①直近の処方内容 処方量/日数/指示
②処方した医療機関と医師
③過去にどんな処方が行われていたか
などがあります。
①はどんな薬が無効であったのか?処方量は適切であったのか?症状によって投与量を増減させるなどの指示はあったのか?といったことを確認しています。
近年は薬不足の影響を受けて治療効果が得られる量の薬が処方されていないことがあります。
また、吸入薬の場合も他院で処方された投与量が不十分なことが結構あります。
①の処方内容が解らないままだと結局似たような薬を処方するだけになってしまい診療の質が落ちてしまいます。
②の処方した医療機関/医師を確認することで専門医が診たのに改善しなかったのか?専門医でないから改善しないのか?などを確認することができます。
聞きなれない医療機関の場合は診療時に確認できませんが、私はどういった医療機関でどういった資格を持っている医師であるのかを診療後に調べるようにしています。
③紙のお薬手帳の場合は直近の処方だけでなく過去にどういった処方が行われていたのかペラペラめくりながら結構先まで振り返って確認できます。
処方箋アプリが患者ごとに異なる上に、他人の携帯電話を操作して①~③の項目を確認するのは容易ではありません。
気になる部分をスキャンして後で確認することもできません。
結果として携帯電話での情報提示は時間がかかる割に診療の質が下がってしまいます。
健診結果や人間ドックのアプリ管理
健診結果や人間ドックの結果提示でも同様です。
検査結果を管理するアプリと電子カルテが連動しているものは現時点では皆無です。
再検査が必要な項目を確認してオーダーし、以前の結果と比較するためにデータを電子カルテに転記あるいは保存する必要があります。
携帯電話で表示した画面を医療機関側で写真を撮って対応するということは出来なくありませんが、時間的には紙をスキャンして保存する方が圧倒的に早いため、紙で情報を持参して頂くことは他の患者さんの診察待ち時間短縮につながります。
アナログな感じで申し訳ありませんが、上記の理由から当院受診の際は処方内容・検査結果などは紙媒体で持参して頂けると助かります。
ご協力のほどよろしくお願いいたします。
