感染性咳嗽 (4コマあり)
一般内科を受診する理由で一番多い主訴は咳と言われています。
咳はどれくらいの期間続いているのかによって呼び方が違います。
3週間よりも短い咳を急性咳嗽、3週間から8週間の咳を遷延性咳嗽、8週間以上続く咳を慢性咳嗽と呼びます。
一般の方は3週間も咳が続いたら、長いと感じると思います。しかし、医学的には急性の範囲であり、急性咳嗽の場合はウイルスや細菌などの感染症が原因の割合が圧倒的に多いです。
典型的なエピソード
症状が出るようになってからの経過が短い、痰がからむ咳(湿性咳嗽)、鼻水・熱・倦怠感・のどの痛みなど咳以外の症状がある、周囲に似た症状の人がいる、自然に良くなってきている
病態
ウイルスや細菌などの病原微生物が気道に感染して炎症が起こり、その部分症状として咳が見られます。感染した病原微生物によって咳の出かたや咳が続く期間が違ってきます。
治療
ウイルス感染の場合は対症療法が第一選択です。風邪の時に抗生剤を欲しがる患者さんもいますが、ウイルス感染の場合には抗生剤は不要です。咳症状に対しては咳の中枢を麻痺させて咳を抑える中枢性鎮咳薬を使います。多くの場合は数日の経過で自然軽快します。一方、症状が長引く場合や痰に色がついてきて細菌感染が疑われる場合には抗生剤を使用します。
風邪で受診したときに(さっさと風邪薬だけくれれば良いのに)と思う方もいると思います。しかし、問診の際に医師が色々と質問をするのは咳の出かた、期間、出やすい時間帯、姿勢、家族歴、既往歴などによって原因を適切に絞りこむために行っています。痰の色や性状によって抗生剤や去痰薬の選択を変えています。また、感染症以外の要素が隠れていそうなエピソードがある場合には、急性咳嗽であっても早く治すために対症療法以外の薬を併用することがあります。診察前に問診表を記入しておくと診察がスムーズに進みますのでご活用ください。