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感染性肺炎 (4コマあり)

病原微生物にはウイルス、細菌、真菌があります。

ウイルスは大きさが数十~数百nm(10億分の1メートル)で非常に小さく、核がない病原微生物です。ウイルスの基本構造は、核酸とそれを取り囲むカプシドと呼ばれるタンパク質の殻から構成されています。ウイルスによってはエンベロープ(外被)と呼ばれる膜成分を持つものもいます。ウイルスは単独では増殖できないので他の生き物の細胞の中に侵入して増殖します。いわゆる風邪(感冒症候群)の原因となりますが、一部のウイルスを除いて特定の治療薬がないので結局のところ対症療法となります。抗ウイルス薬があるものはインフルエンザウイルス、ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、肝炎ウイルス、HIV、新型コロナウイルスなどで、ただの風邪とは違った症状を起こします。

細菌の大きさは1μm(100万分の1メートル)です。細胞膜と細胞壁に囲まれた中に核様体とリボゾームのみが入っている単純な構造の生物です(原核生物)。細胞外に鞭毛や線毛という毛がついた菌もいます。丸い形のものを球菌(ブドウ球菌、連鎖球菌、肺炎球菌など)、細長い形のものを桿菌(大腸菌など)、らせん状の形のものをらせん菌(コレラ菌、ピロリ菌など)、糸状のものを糸状細菌と呼びます。グラム染色で紫色に染まるものをグラム陽性、紫に染まらずに赤く見えるものをグラム陰性と言います。成人肺炎の中で一番多い肺炎球菌であり、高齢者には肺炎球菌ワクチンの接種が推奨されています。予防接種にはニューモバックス(23価莢膜多糖体型肺炎球菌ワクチン)とプレベナー(13価タンパク結合体型肺炎球菌ワクチン)の2種類があり、2種類とも接種した方がどちらかの単独接種よりもが効果が期待できます。

真菌の大きさは数μm(100万分の1メートル)です。我々ヒトと同じように核をもった生物です(真核生物)。真菌に対する治療薬を抗真菌薬と呼びます。人間に感染して咳の原因となる真菌の代表例はアスペルギルスです。

これらの病原微生物を吸いこんだ後に自分の免疫力では排除することができずに肺の中で炎症を起こしてしまった場合に肺炎となります。風邪だと思っていてもなかなか症状が良くならない時には肺炎を疑ってしっかりと検査することをお勧めします。

 

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