アトピー咳嗽 (4コマあり)
アトピー咳嗽とは
アトピー性の素因があるために気管支上皮にある咳の受容体の感受性が敏感になってしまい、このために喉がイガイガした咳が起きやすくなる咳をアトピー咳嗽といいます。
アトピー素因を有する中年の女性に多いと言われています。
咽喉頭の掻痒感を伴い、就寝時・深夜から早朝・起床時の咳が多く出現します。
上気道感染・気温・湿度・気圧の変化、会話や電話、ストレス、受動喫煙、運動などが咳の誘因になります。
有用な検査
誘発喀痰検査、採血検査、カプサイシン試験などがあります。
ただし、カプサイシン試験を行う事が可能な施設は数少ないです。
治療
ヒスタミンH1受容体拮抗薬が第一選択ですが、有効率は60%程度です。
このため2週間ほどヒスタミンH1受容体拮抗薬を使っても効果が不十分な場合には吸入ステロイドを追加して治療をおこないます。
吸入ステロイドは咳喘息にもある程度効くので、はじめから使ってしまうとアトピー咳嗽と咳喘息の区別がつかなくなってしまいます。
咳喘息と違ってアトピー咳嗽は喘息や閉塞性換気障害になる可能性が低いため、咳が良くなった時点で治療中止できます。
一方、咳喘息は約3割が喘息に移行してしまうためしっかりと治療を継続する必要があります。
咳喘息の治療期間は「咳嗽・喀痰の診療ガイドライン 2019」に「過去1年以上治療を行い、吸入ステロイドを低用量まで減量できて無症状であれば、吸入ステロイドの中止を考慮しても良い」と記載されているように結構長い期間治療が必要になります。
治療期間が大きく異なるので、鑑別をしっかりとすることは重要です。
最初から一度に何種類もの薬を使用するのは咳の治療にこだわる医師としてはお勧めしません。