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大人の食物アレルギーの記事と本 

[2023.10.09]

ドクターズファイルの特集記事

期間限定ですが、ドクターズファイルに「子どもだけの病気でない 大人でも発症する食物アレルギー」のトピックス記事を掲載して頂くことになりました。もしよかったら、「Doctors File」のアイコンを押してリンク先の記事を読んでください。

https://doctorsfile.jp/h/213094/mt/1/

大人の食物アレルギー

大人の食物アレルギーは子供と異なり、食べてアレルゲンに感作される経腸管感作の割合が低くなります。

例えば

・花粉と食物のアレルゲンが交差反応する花粉-食物アレルギー

・味のついた粉ものに発生したダニを経口摂取することで生じるパンケーキアナフィラキシー(oral mite anaphylaxis)

・ペットと食物のアレルゲンが交差反応するpork-cat 症候群bird-egg 症候群

・クラゲに刺されて生じる納豆アレルギーやマダニに刺されて生じる獣肉アレルギー(α-galアレルギー)

・純粋な魚アレルギー/自称魚アレルギー(アニサキスアレルギー)/偽の魚アレルギー(ヒスチジン中毒)

・エステティシャンに起きたりするヨモギ-スパイスアレルギー

などなど…

食べたもの、職業、ペット、生活習慣などを聞き取り調査しながら探偵のように推理して診療を進める必要があります。

このため、大人の食物アレルギーの診療は小児アレルギー診療でしばしば使われるドロップスクリーン(血液1滴で41項目のアレルゲンが検査できる検査機器)などのマルチスクリーニング検査では不十分です。

しかし、そういったことをちゃんと理解してアレルギー診療をし、適切な特異的IgE抗体検査を選んでいる医師は残念ながら多くはありません。

アレルギー専門医の数

日本の医師の数は約34万人であり、2023年1月の時点で総合内科専門医37,790人、消化器病専門医23,330人、循環器専門医16,358人、呼吸器専門医7,359人、糖尿病専門医6,558人といった具合に多くの専門医がいます。

しかし、アレルギー専門医は内科、小児科、耳鼻科、眼科、皮膚科全てを足しても4,688人だけであり、内科のアレルギー専門医はこのうち1,970人しかいません。

何年か前にアレルギー学会で埼玉医大の永田真教授が「都内でアレルギー科を標榜しているクリニックの大半は、アレルギー専門医をもっていないどころかアレルギー学会の会員ですらない」という衝撃の発表を行っていましたが、専門医の数を見る限り真実なのだと思われます。

日本アレルギー学会専門医・指導医一覧(一般用)|一般社団法人日本アレルギー学会 (jsaweb.jp)

アレルギー専門医増加の願いを込めて

高いレベルで大人の食物アレルギー診療をすることができる医師の数を増やしたい!という願いを込めて、昭和大学の鈴木慎太郎先生、慶応大学の正木克宜先生が監修した「解いて学ぶ!おとなの食物アレルギー 思春期~成人の食物アレルギー43のCase Study」(文光堂)が2021年に出版されました。

この本は好評であったため、慶応大学皮膚科の足立剛也先生が加り、続編として「内科×皮膚科 解いて学ぶ!おとなのアレルギー 魂のクロストーク37のCase Study」(文光堂)が2023年10月18日頃に出版されることになりました。

前作に続いて今回も全ての挿絵のイラストを中村橋いとう内科クリニック院長である伊藤潤(ITOJUN)が描きました。

内容はかなりマニアックに仕上がっており、ちゃんとした医学書であるため値段が高いのですが、本屋でパラパラとイラストを楽しんで頂けたら幸いです。

また、上記の本と時を同じくして今年のアレルギー学会に合わせて出版が予定されている、「成人食物アレルギーハンドブック」(埼玉医大の永田真教授監修、中外医学社)でも著者の一人として参加しました。

私は4月から開業医になりましたが、アレルギー学会の代議員の1人としてこういった啓蒙活動にも力を注いでおります。

10月20日(金)~22日(日)のアレルギー学会参加中は院長がクリニックを留守にすることでご迷惑をお掛けてしまいますが、ご理解頂けたら幸いです。

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