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開業3週目を振り返って

[2023.04.23]

練馬区では2023/3月までは帯状疱疹ワクチンは全額自己負担となっていました。しかし、4/1から予防接種が接種費用の一部を助成することになり、練馬区から4/7に対象者へ予診票が一斉発送されました。

この影響をうけて、今週は当クリニックへの帯状疱疹のワクチンに関する問い合わせが急に増えました。このため、今回は帯状疱疹ワクチンに関する情報をブログに記載することにしました。

帯状疱疹とは

帯状疱疹は日本で毎年60万人の方がかかる病気です。神経節に潜伏していた水痘帯状疱疹ウイルスが免疫力の低下によって再活性化し、神経を伝わって皮膚に痛みを伴う赤い発疹や水疱を生じる病気です。帯状疱疹は80歳のうちに1/3の方が発症するとされています。帯状疱疹は早期に診断し、ちゃんと治療をすることで良くなります。しかし、診断が遅れたり、放治すると帯状疱疹後神経痛という痛みが長く続く状態になってしまいます。

帯状疱疹ワクチンについて

50歳以上の方には帯状疱疹ワクチン接種の適応があり、ワクチンを発症前に接種することで帯状疱疹にかかりにくくなり、仮に帯状疱疹にかかったとしても重症化を予防でき、帯状疱疹後神経痛にもかかりにくくなります。

帯状疱疹のワクチンには2016年に認可された生ワクチン(弱毒生水痘ワクチン)と2020年に認可された不活化ワクチン(シングリックス®)の2種類があります。

練馬区で行われる助成はいずれかのワクチンで生涯1度であり、具体的な費用は下記の通りです。

生ワクチンの場合は(接種金額8,000円-助成額4,000円)×1回=4,000円

不活化ワクチンの場合は(接種金額22,000円-助成額11,000円)×2回=22,000円

弱毒生水痘ワクチンは弱毒化されたウイルスが入っている生ワクチンで、小児に使用する水痘ワクチンと同じものです。一方、シングリックス®はウイルス表面タンパクの一部を抗原とした不活化ワクチンです。

シングリックス®は帯状疱疹の発症予防効果が非常に高く(50歳以上で97%、70歳以上で91%)、帯状疱疹後神経痛の予防効果も非常に高い(70歳以上で85.5%)です。長期的な予防効果も高く、10年間は80%を超える有効性が確認されています。副反応としての痛みは生ワクチンよりも多いようです。

弱毒生水痘ワクチンの発症予防効果は中程度で(50~59歳で69.8%、60歳以上で51.3%)、帯状疱疹後神経痛の予防効果は66.5%です。長期的な予防効果は低く、1年目で67.5%、2年目で47.2%、8年目で31.8%まで発症予防効果は下がってしまいます。

予防効果を重視するならシングリックス®、一時的な出費を重視するなら弱毒生水痘ワクチンという選択になるのかもしれません。

 

2つのワクチンの比較を簡単な表にまとめましたので、どちらのワクチンを接種するのかの参考にしてください。

参照:練馬区ホームページ

参照:Gnann et al. Clinical practice. Herpes zoster. N Eng J Med. 2002;347(5):340-6.

参照:2022年10月のGSK社による長期予防効果に関する発表
参照:N Engl J Med. 372(22), 2087-2096, 2015Clinical Infectious Diseases, Volume 74, Issue 8, 15 April 2022
参照:What Everyone Should Know about the Shingles Vaccine (Shingrix)

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