2024年度のワクチン変更点
年度が変わると公費のワクチンについての対応も変わってきます。
2024年度の練馬区で公費になっているワクチンの変更点について4月の「いとしんぶん」で特集しましたので、今回のブログでも公費ワクチンの変更点を記載します。
肺炎球菌ワクチン
小児に公費で接種していたプレベナー13(PCV13)が2024年度はバクニュバンス(PCV15)に変更になりました。
PCV13に22Fと33Fという型が追加された15価のワクチンがバクニュバンス(PCV15)です。今年の夏ごろにプレベナー20(PCV20)が発売される予定であるため、来年度に助成が効くワクチンはPCV15からPCV20にまた変わるかもしれません。
肺炎球菌のワクチンには他にもニューモバックス(PPSV23)があり、こちらは65歳以上の高齢者肺炎球菌予防接種に用いられています。
2023年度で経過措置が終了し、2024年度以降は65歳の方だけがニューモバックス接種の対象となります。
現在65歳の方は接種期限が2024年3月31日から66歳の誕生日前日に変更となるためご注意ください。
2024年度に限り東京都の補正事業となるため自己負担額が1,500円ですが、2025年度からは通常通り4,000円に戻る予定とのことです。
3つの肺炎球菌ワクチンの違いは?
PPSVは肺炎球菌の莢膜由来成分からなる不活化ワクチンであり、PCVは肺炎球菌莢膜の一部の蛋白の型を吸着させて不溶性としたワクチンです。
PCVの方は肺炎球菌由来の蛋白成分があり、B細胞だけでなくT細胞も活性化するため免疫を長い期間覚えさせておくことが可能なワクチンとなっています。
一方、ニューモバックス(PPSV23)は5年後には効果が低下してしまうため、5年ごとのワクチン接種が必要となります。
肺炎は年齢が上がるごとにかかりやすくなり、重症化のリスクも高くなってしまいます。このため、65歳を過ぎたら肺炎予防が必要です。
実際、肺炎による死亡の97.9%は65歳以上の方が占めています。
日本人がかかる肺炎の中で1番多い原因菌は肺炎球菌(18.8%)で、2番目がインフルエンザ菌(7.6%)、3番目が黄色ブドウ球菌(4.2%)の順です。
(成人肺炎診療ガイドライン2017)
PPSVとPCVではカバーしている型が一致している訳ではないため、両方のワクチンを接種するとより効果が期待できます。
肺炎にかからないようにしっかりと予防接種を行うことをお勧めします。
5種混合ワクチン
2024年度から4種混合ワクチンとヒブワクチンがひとつになった5種混合ワクチンが小児定期接種の対象となりました。
既に4種混合ワクチンとヒブワクチンの接種を受けている場合は同一ワクチンで接種を完了することが原則になります。
接種対象者、接種回数、接種間隔は4種混合と変わりませんが、皮下注射だけでなく筋肉注射が可能になります。
ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン
日本で使えるHPVワクチンは2価ワクチン(サーバリックス)、4価ワクチン(ガーダシル)、9価ワクチン(シルガード9)の3種類です。
HPVワクチンは性経験前の接種により子宮頸がんの発症を高率に抑えることが出来るため、小学校6年生~高校1年生に相当する女性を対象に定期接種が行われています。2024年度から9価ワクチンも定期接種に使用可能となりました。このため、当院ではより幅広くカバーができる9価ワクチンの接種を推奨しております。
対象者は1997年4月2日~2008年4月1日までに生まれ、3回接種が完了していない女性です。
2007年4月2日~2008年4月1日までに生まれ、3回接種が完了していない女性には2024年4月に予診票が発送されます。それ以外の方は申込制です。
子宮頸がん以外にも、陰茎がんの36%、中咽頭がんの50%、肛門がんの93%がHPVワクチンによるものとされているため、 2024年度から男性に対するHPVワクチン接種も練馬区で助成されることになりました。
対象者は2008年4月2日~2013年4月1日生まれ(12歳~16歳)の男性です。
ただし、男性に助成が効くのは4価ワクチンのみとなります。
帯状疱疹ワクチン
「いとしんぶん」Vol.1で特集しましたが、練馬区では2023年4月から帯状疱疹ワクチン接種に関する助成が開始されました。
この助成は2024年度も継続されることが決まりました。
2024年度に50歳を迎える方には4月中旬に予診票が発送される予定となっております。