小児科と内科の違い
子供も診てもらえますか?
当クリニックは小児科を標榜しておりません。しかし、「子供も診てもらえますか?」という問い合わせがあります。これに対して内科医である我々は自信満々に「どうぞ」とすぐに答えることができません。
「小さなお子様は小児科を受診された方が良いと思います」とお返事すると、「何歳なら診てもらえますか?」という質問が続くこともあります。15歳を超えていた場合に断る内科医はいないと思いますが、自分の症状を伝えられないくらい小さなお子様は小児科医に診てもらうべきだというのが院長の考えです。
このため当院では基本的には未就学児の診療を行っておりません。
「餅は餅屋」という言葉があるように「小児は小児科」を受診すべきです。
継承開業後2ヶ月半の間に「子供も診てもらえるか?」という問い合わせが結構ありましたので、今回は小児科と内科の違いについてブログに記載してみました。
小児科と内科の違い
小児科は主に子供の内科的疾患を治療する診療科であり、内科は内臓各器官の病気を手術なしで治療する診療科です。
「どちらも内蔵が専門なのだから診る事が出来るのではないか?」と思うかもしれませんが、子供と大人とでは体の状態が異なり、同じ病名でも治療方法が異なる場合があります。
また、小児科医には自分の症状を上手く伝えられない子供を適切に診療するというスキルが求められます。
一方、内科医は問診をしながら診断を絞り込み、その診断の裏付けを得るために診察や検査をします。このため、内科の専門医を持っているベテランの内科医であっても小さなお子様に対して適切な診療を行うスキルを持っている訳ではありません。
小児科も内科も標榜してあるクリニック
一般的には「小児科・内科」の順で記載されている場合は小児科の先生が大人も診療する場合、「内科・小児科」の順で記載されている場合は内科の先生が小児科の診療も行っている場合が多いようです。
標榜科に関しては注意点もあります。クリニックや診療所に掲載されている標榜科は、その科に対する専門性を持っていなくても「診ることができる」とその医師が思ってさえいれば標榜する事が出来ます。
何年か前にアレルギー学会で埼玉医大の永田真教授が「都内でアレルギー科を標榜しているクリニックの大半がアレルギー専門医を持っていないどころか、アレルギー学会員ですらない」といった調査結果を講演していました。当然アレルギー診療の質は落ちる事が予想されます。
おそらく同様に「内科・小児科」という標榜があったとしても、ちゃんと小児専門医の資格を持っていたり、小児科学会に参加して研鑽を積んでいる先生は少なく、小児科診療の質が落ちる事が予想されます。
中村橋いとう内科クリニックはどうなのか?
継承前の戸田クリニックでは小児科を標榜しておりました。しかし、現在の院長・副院長は2人とも内科の専門医は持っているものの、小児医療については研修医の頃の知識しか持ち合わせておりません。このため小児科の標榜を外し、院長と副院長が専門医を持っていて責任をもって見ることができる診療科である「内科・呼吸器内科・アレルギー科・糖尿病内科」だけを標榜することにしました。
今後も小児科を標榜する予定はありませんが、診療技術の差が現れない小児予防接種の対応に関しては継承開業後も行っています。また、自分の症状を伝えられるくらい大きくなったお子様の軽い症状であれば、ご相談に乗れることができるかもしれません。
また、当院では多くの小児科さんでは導入していない呼気一酸化窒素濃度(FeNO)測定や呼吸機能検査も行うことができます。
基本的には当院では未就学児のお子様の診療は行っていません。
しかし、未就学児でも指示に従って検査ができるお子様であれば、喘息診療に関してはお子様であっても遜色なく診療を行うことが可能です。
親の言うことを素直に聞いて動けるお子様ならおそらく検査可能です。
今後、小児医療について勉強し直し、診療の引き出しを増やしていく所存です。
「こどもの予防接種」については下記のリンクを参照してください