木の実アレルギーが増えている!
本日は日曜日ですがKABUTO ONEまでエピペン®の講演会を聴きに行ってきました。
講演で木の実のアレルギーが近年非常に増えていることについて触れていたので、今回の院長ブログは木の実アレルギーについて記載します。
木の実アレルギーの推移
木の実アレルギーは高頻度にアナフィラキシーショックが出現するため注意が必要なアレルギーです。
下図のように2017年の調査で即時型食物アレルギーの原因食物上位3位は鶏卵・牛乳・小麦でした。
しかし、2020年の調査では木の実の割合が8.2%→13.5%まで増加し、上位3位が鶏卵・牛乳・木の実に変化しました。
更に2023年の調査では24.6%まで増加し、鶏卵・木の実・牛乳の順に変化しました。
この図で示されたようにここ数年で木の実アレルギーは2番になるほど増加しています。
近年木の実の年間輸入量が増加しており、国内消費量の増加が木の実アレルギー増加の一因だと考えられています。
どんな木の実が多いのか?
木の実アレルギーはクルミ、カシューナッツ、マカダミアナッツ、アーモンド、ピスタチオ、ペカンナッツ、ヘーゼルナッツの順に多く、その他にもココナッツ、カカオ、クリ、松の実といった報告があります。
糖質が少ないローカーボ(low carbon)食としてロカボナッツが利用されますが、ロカボナッツとして売られているミックスナッツには大抵上位7位の木の実が含まれています。
全ての木の実を避けるべきか?
何かの木の実にアレルギーがあることが解った際に全ての木の実を避けなくてはいけない訳ではありません。
とはいえ交差抗原性がある木の実は避けるべきです。
クルミとペカンナッツ、カシューナッツとピスタチオ、アーモンドとヘーゼルナッツは交差抗原性が高いことが報告されています。
ピーナッツはナッツではない
ピーナッツは落花生であり、マメ科なので木の実(ナッツ)ではありません。
ピーナッツの「per」はエンドウ豆やエンドウ豆に似た食物など豆を意味し、「nut(s)」は木の実を意味します。
因みに落花生という名前は「花が枯れ落ちた後に地中で実をつける」という特殊な植物であることに由来します。
上図のようにピーナッツは即時型食物アレルギーの原因として5番目に多く、Ara h 2というアレルゲンコンポーネントの特異的IgE検査が陽性の場合はアナフィラキシーを起こし易いことが知られています。
豆類、木の実のアレルゲンコンポーネント
豆類では大豆のGly m 4とピーナッツのAra h 2、木の実ではクルミのJug r 1、カシューナッツのAna o 3といった具合にアレルゲンコンポーネントを保険適応で調べることができます。
木の実などのアレルギーを疑った場合はアレルゲンコンポーネント特異的IgEの有無について調べないと不十分な検査となってしまうことがあります。
非アレルギー専門医だとアレルゲンコンポーネントの検査まで気が回らないことが多いと思いますので、木の実アレルギーが疑われる場合はアレルギー専門医がいる医療機関を受診することをお勧めします。
『解いて学ぶ「おとな」の食物アレルギー』用に院長が描いた挿絵