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胸部レントゲン検査 (4コマあり)

[2026.01.04]

呼吸器内科医は胸部レントゲンの撮影を指示し、読影する頻度が非常に高い科です。それだけこの検査を重要視している訳であり、今回は重要視する理由について院長ブログに記載しました。

 

胸部レントゲン検査で解ること

胸部レントゲンは主に肺、心臓、胸郭(肋骨など)の異常を調べるための検査です。

肺の異常としては肺がん、肺炎、気胸、胸水、間質性肺炎、結核、非結核性抗酸菌症などの異常を見つけることに役立ちます。

心臓の異常としては心不全による心拡大、胸部大動脈瘤など大血管の異常などの異常を見つけることに役立ちます。

その他に肋骨骨折、縦郭腫瘍、食道裂孔ヘルニア、気道異物などの異常を見つけることにも役立ちます。

胸部レントゲン検査のメリット・デメリット

メリット

①検査時間が短い:着替える必要がない服装であれば撮影修了まで1分かかりません

②身体への負担が少ない:痛みや苦痛はありません

③費用が比較的安価:CT、MRI、内視鏡などの画像検査と比較すると非常に安価です。

2026年1月の時点では、正面1枚の場合は撮影料68点+画像判断料85点+電子画像管理加算57点=210点(2,100円)、3割負担で630円です。同じ部位の2~5枚目の撮影料は半分の34点に下がり、6枚目以降は0点であるため、多く撮影するほど利益が上がる訳ではないのです。

デメリット

①X線による被ばく:自然界から受ける放射線量と比較してもごくわずかではありますが、被ばくがあります

②病変が見にくい場合がある:骨や心臓などの陰に隠れるような病変だと1枚のレントゲン写真だけでは見つけることができないことがあります。

③着替えが必要になる事がある:ネックレス、ボタン、ブラジャーなどX線を通しにくい装飾品や衣服を着ている場合は着替えが必要になります。湿布、カイロ、エレキバンなども剝がしてもらう必要があります。

胸部レントゲン検査は意味がない?

CT検査で発見される早期の肺がん(1cm未満)は淡い陰影であるため、早期の肺がんを胸部レントゲン検査で見つけることは難しいです。このような理由から胸部レントゲン検査は意味がないと主張する先生がいます。

こういった内容の論文はいくつかあるのですが、実臨床ではレントゲン検査で大きな病気が見つかることは結構あります。

少なくとも呼吸器症状がある場合はレントゲン撮影する意味があるのです。

因みに年に数枚程度のレントゲン検査であれば発がんリスクはほぼありません。

放射線は宇宙からも地球に降り注いでいます。胸部レントゲン検査の被ばく量は約0.01~0.02mSvであり、地球上のほとんどの場所における1日分の自然放射線被ばく量に相当する程度の少ない被ばく量です。

ニューヨークからロサンゼルスまで飛行機で移動しただけでもレントゲン写真撮影を超える被ばくを受けるため、むしろ飛行機で頻回に移動する人の被ばく量の方が多く、妊婦でも安全とされているくらいです。

妊婦の撮影時に使用する腹部の遮蔽は、胎児被ばくを減らすというよりも妊婦の精神的健康のために推奨されるとされているくらい撮影時の被ばく量は少ないです。

Joshua Broder, Imaging the Chest: The Chest Radiograph  PMCID: PMC8139021

 

過度に被ばくのリスクを誇張するトンデモ医師の意見に影響を受けて必要な検査を拒否することがないようにしてください。

むしろ喫煙指数600を超える重喫煙者の場合は、肺がんや肺気腫などの呼吸器疾患を発症する可能性が高いため、胸部レントゲンだけでなく低線量CTでしっかりと検査することを推奨されています。

※喫煙指数=1日の喫煙本数×喫煙年数

開業医の視点から見たレントゲン検査

呼吸器科医の場合は呼吸器症状で来院する患者に対して胸部レントゲンがないと不十分な診療になるため、ほぼ100%レントゲン検査機器を導入します。

撮影されたレントゲン写真を患者さんに見せることで安心感を与えることができ、起きている病態を理解してもらうことにつながるというメリットがあります。

しかし、X線の照射ボタンは看護師さんが推すことができず、医師か放射線技師でないと押すことができません。

診療を中断して撮影する必要があるため、開業医にとっては先ほど挙げていない時間的なデメリットがあります。

レントゲンの撮影機器はそれなりのスペースが必要であり、検査機器が高額であるだけでなく年間にかかってくるメンテナンス費用などが結構かかるという金銭的なデメリットも開業医にはあります。

また、1枚の胸部レントゲン画像では読影者によって判読のばらつきがでることがあり、レントゲン検査は見逃した際に画像という証拠が残るリスクが出てきます。

画像判断料85点(850円)という診療報酬だけで高額な訴訟リスクを生み出す可能性があるレントゲン読影の責任を負うということは開業医にとっては大きなデメリットとなります。

日本では胸部レントゲン写真の読影に自信がない非呼吸器内科医の中には割に合わないという理由で敢えて胸部レントゲン検査を導入しないというスタンスの開業医が近年増えてきているようです。

個人的な感想

私は基本的には中年以降の初診の方には胸部レントゲン検査をするようにしています。

呼吸器症状が悪化した際に、比較する画像があった方が何かあったときに効果的な画像診断ができるというのが理由の一つです。

当院は呼吸器内科という看板を掲げているため、他院で治療していても改善しない長引く咳を主訴に初めて受診する患者さんが比較的多くいます。

他院で行われていなかった胸部レントゲン検査を撮影した後に「もっと早く胸部レントゲン検査を撮影していれば…」と思うことが年に何回もあります。

毎年のように初診時のレントゲン撮影で肺がんや間質性肺炎を複数名見かけるため、中年以降の方は症状があってもなくても健診などで胸部レントゲンを1年に1回は撮影することをお勧めします

また、当院では胸部レントゲン検査のハードルが低く撮影頻度が高いため、撮影の際に着替えが必要のない服装で受診して頂けると助かります

 

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