取材記事が掲載されました(FRaU web)
女性誌の取材2社目となるFRaU webの記事が2024/4/14に掲載されました。
前編は取材をしにきたライターさんが悩んでいた「水菜」のアレルギー、後編は「コチニール」のアレルギーです。
「水菜」アレルギーのライターが「大人の食物アレルギー」専門医に原因を直撃(若尾 淳子) | FRaU (gendai.media)
海外で購入した「マカロン」食べて救急搬送!? 驚きのアレルギーの原因物質(若尾 淳子) | FRaU (gendai.media)
これらの記事にも記載されているように、大人のアレルギーは食べたものから単純に推測されるアレルゲンを血液で検査しただけでは診断がつかない事が結構あります。
今回の院長ブログは以前4コマ漫画にした「大人の食物アレルギー」の一部を紹介します。
魚のアレルギー
食物アレルギーを訴える大人の患者さんで一番頻度が多く遭遇するのは「(自称)魚のアレルギー」です。
特異的IgEを検査できる魚類はアジ、イワシ、カレイ、サケ、サバ、タラです。他の海鮮系としてはエビ、カニ、ロブスター、イカ、タコ、アサリ、カキ(牡蠣)、ホタテ、ムラサキガイ、イクラ、タラコがあります。
このように沢山の検査項目がありますが、大人の食物アレルギーではこれら海鮮系を調べただけでは診断に至らない事が多い点に注意が必要です。
純粋な魚アレルギー以外に、自称魚アレルギー(アニサキスアレルギー)や偽の魚アレルギー(ヒスチジン中毒)を鑑別に挙げて検査を組む必要があります。
コチニールアレルギー
FRaU webの記事にも掲載されたコチニール色素に対するアレルギーです。
コチニール色素(カルミン酸)は染料あるいは食品添加物(天然着色料)として使用される赤い色の色素です。この色素はコチニールカイガラムシのメスの体から抽出して作成されます。
感作経路としては口紅やチークなど化粧品からの経皮/経粘膜感作が考えられています。
コチニールアレルギーを採血検査で調べることはできません。
しかし、アレルギー反応を起こした現物が残っていれば、その食物を用いて皮膚テストで診断をすることが出来ます。
私が出会った患者さんはスイス製のマカロンが捨てずに残していたので、成分表を確認したところ「Karmin」と記載されていました。
後日行った皮膚テストでスイス製のマカロンが陽性、対照として用いた日本製のマカロンは陰性という結果からコチニールアレルギーと診断しました。
ちなみにこの患者さんが使用していた化粧品はフランス製でした。
海外ではまだコチニールの規制が不十分な国もあるため、注意が必要です。
大根アレルギー
FRaU webの記事にも掲載されている水菜はアブラナ科の食物です。
大根、ルッコラ、ブロッコリー、カリフラワー、からし菜、からし、わさび、マスタードなどもアブラナ科です。
アブラナ科で特異的IgEが検査できるのはマスタードしかありません。このため、疑った時は皮膚テストをする必要があります。
私が出会った患者さんは新鮮な大根では反応するものの、ゆでた大根では反応しなかった事から、しっかりと熱を加えれば食べられるアレルゲンであることを証明することができました。
論文を書いた2021年の時点では7例しか報告されておらず、全例が女性で調理中にアナフィラキシーを起こした症例もあったことから、経皮感作したことが予想されます。
大根おろしを作る時にはおろし金で手を傷つけないように注意をした方が良さそうです。
大人の食物アレルギーに関する院長ブログはこちらにもありますのでご覧ください。
大人の食物アレルギーの記事と本 | 中村橋いとう内科クリニック (itoito-clinic.com)
取材記事が掲載されました(Harper’s BAZAAR) | 中村橋いとう内科クリニック (itoito-clinic.com)